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中国はブラジルに脅威=現段階では立ち向かえず=貿易面では厳しい態度を

3月2日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】中国は世界市場でブラジル工業製品を脅かす存在となる―。米州開発銀行(BID)が、とりまとめた報告書の中で警告を発した。報告書は、二日にサンパウロ市で開催される「中国の実態」をテーマとしたセミナーで公表される。このセミナーは先物証券取引所と伯中企業審議会の共催で開かれる。
 この報告書は「中国の脅威―ラテンアメリカ工業の将来は?」と題したもので、とくにブラジルにとって中国は恐るべき存在で、過去十二年間で十六億ドルの市場を奪われたとしている。ブラジルのほかにアンデス諸国も軒並み影響を受けているとして、現段階では中国の経済力に立ち向かう余地はないと極言している。
 また、ブラジルの実質金利が世界で一番高い一二%に対し、中国は二%であり、このまま高金利が続くとブラジルは鉄鉱石の輸出しか道は残されないだろうと指摘している。
 短期的に繊維、鉄、音響製品、裁縫機械、空調設備の輸出市場を失い、中期的には鉄鋼や自動車産業も打撃を受けるとみている。さらに農業部門でもブラジルはオレンジジュースの世界市場のシェアーが減少しているのに反し、中国はフルーツジュースの輸出が増加傾向にある。このままで推移するとラテンアメリカ諸国は一次産品の輸出にとどまり、付加価値のついた産品は売れなくなる。例えば大豆油や靴製品の場合、原料の大豆や皮革の供給に終わることになる。
 中国の強みは第一に加工賃の安さにある。ブラジルの労働者の平均年収は四千ドルに対し、中国では一千ドル未満になっている。
 さらにラテンアメリカでは九〇年代に民営化が進んだが、共産国の中国では企業の全てに国家資本が入っている。これにより国営銀行から無制限・低金利の融資が可能で、また税制上の恩典があり、技術導入や市場調査は国の機関が行なうことから、企業のコストは最小限となっている。
 これに対抗するには、技術力向上、税制改革の推進、企業への投資が求められる。さらに報告書は、この程ブラジルが認知した中国の市場経済への加入は過ちだったとし、中国に対して貿易面でより厳しい態度を取るべきだと強調している。