チャンスを逃したブラジル=世界最大の米国市場から離反
3月2日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】米政府の六千百七十億ドルに上る二〇〇四年度財政赤字について、ウオールストリート・ジャーナル紙がドル安とブラジルとの関係を論評した。
ブラジルや中国のような対米輸出超過の国は、米国債で超過分を決済し、現状を維持すべきかどうか迷っている。米国には金融市場で上がる利益で、財政赤字を穴埋めする切り札がある。長期的には紙くず同然のドル通貨で輸入を受け入れるか、真剣に財政赤字の解消に取り組むか米政府自身が分からないのだ。
米国へ怒涛のように流れ込む輸入品で、ブラジルは波に乗り損ねた。米国の輸入総額から見ると、ブラジルは〇三年の二三・一%から〇四年は二一・一%へ落ちている。しかしブラジルの対米輸出でみると、米国は二五%で大口顧客と見なされる。ブラジルの対米輸入は〇三年の二〇・一%から一八・四%へ減少。ここから何が読み取れるか。
ブラジルは世界最大の市場、米国から離反しつつあることだ。米国の巨大な貿易赤字を利用していない。そして南米地域への輸出を拡大した。しかし、南米諸国は、ブラジルとは逆に、これまでの対米輸出減少を〇四年に取り戻した。
南米諸国や中国は貪欲に米国市場を食いちぎり、米貿易赤字の饗宴に預かった。ブラジルは遠慮した。南米諸国(ALADI)はベネズエラを除いて、米国と自由貿易協定を結び、北米自由貿易圏(NAFTA)へも市場を広げた。
ブラジルは、チャンスを逃したとウオール・ストリート紙はみている。それだけではない。米国は、メルコスルを除く南北アメリカ大陸と自由貿易圏をまとめた。三人の不具者を引き連れたブラジルのメルコスルは孤立化したと愚弄。
米経常収支の中でブラジルが段々萎縮し、それに米国から無理難題を押し付けられ足蹴りにされている。米州機構の中でイジメに遭い、弱みに付け込まれ対EU交渉でもミソを付けられる。これからブラジルに対し辛辣なのは、米政府だけではない。EUも辛辣な態度へと豹変する。
日本や中国は、ブラジルより少し頭がいい。ドル安による差損を、ドル建て債務を起こして相殺している。輸出で損する分をドル建てで借金すれば、差し引き差損は穴埋めになり、輸出利益は浮上する。他にもドル安差損を相殺する方法は、いくらでもある。ブラジル人は、少し国際金融と米国債を勉強してはどうか。
米国市場を必要としているのは、ブラジルだ。米国が、ブラジル市場を必要としているのではない。ブラジルの反米分子は、米政府と米国市場を混同している。米国人は生意気で横着な民族だが、米国市場は金の成る木だ。時代遅れのイデオロギーと現実を混同するのは愚かだという。