3月2日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】ブラジルは二〇〇四年、前年比三〇〇%増の二十三億リットルのアルコールを六カ国へ輸出した。ところが〇五年は、それをさらに大きく上回る見通しだ。いまやアルコール輸出業者は、国際価格にもドル安にも脅かされることがない、世の春を謳歌している。
ブラジルのアルコール業界は〇五年、世界に向けて声明を発表した。「石油の全盛時代は二〇一〇年に終わる。アルコールは理想的な燃料だ。アルコールならば我々が引き受けた」と。
ブラジルの物流は未整備だったが、サンパウロ州サトウキビ生産者協会の積極的な活動でアルコールの港湾整備が始まり、問題が解決に向かいつつある。サンパウロ州の港湾設備は現在、年間四十億リットルの積み出し能力がある。トランスペトロは六年計画で、百億リットルを船積みできる設備を建設する予定だ。
ブラジルの業者は、世界のアルコール供給国として君臨する意気込みだ。現在最大のアルコール企業とされるコザンのミズタニ専務は、当社だけで〇五年に三億二千万リットルを輸出する計画と話す。
石油資源の枯渇は、遠い未来ではないと思われる。持続可能な代替エネルギーの開発で、採油植物生産者は将来大きな期待をされている。これはアルコール産業に携わる者の通念だ。
ミズタニ専務はいう。しかし、問題はそんなに簡単ではない。砂糖の国際価格が高騰すれば、アルコールを輸出する者はいない。どんなに海外でアルコールを求めてもビジネス優先だ。ブラジルの業者は、その辺の道徳心に欠ける。長期展望と戦略思考がない。
燃料用アルコール輸出のための市場開拓は、純然たるビジネスではなく国家単位の戦略なのだ。アルコール輸出は単なる国際市場への商業ベース取引ではなく、京都議定書に添った二酸化炭素の削減努力を含む外交努力も評価して欲しいと政府は願っている。