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会議所=業種別部会長懇談会=好況に沸く産業界=連載(下)=2輪生産で100万台突破=「税軽減と行政効率化を」

3月2日(水)

 食品部会で疋田和三部会長(三井アリメントス)は「分野によって業績にばらつきある」。ヨーグルトなど健康食品は三一%で成長傾向だが、製品競合が烈しい。コーヒー相場は高騰しており、昨年は前年の三〇%近い上昇だった。先進国でコーヒー消費が伸び悩むなか、国内消費も輸出も伸びていると報告。
 日本酒(東山)はサケピリーニャがブラジル人に定着しつつあり、売上げ数量ともに前年なみ。即席麺は低価格の代替品の消費が増えたため、伸びはわずか。乳製品は非常に厳しい状況。〇五年は「引き続き、全体的には良好に推移しそうだが、一部企業選別や淘汰が進む」と見ている。
 電気電子部会で板谷稔部会長(SONY)は「昨年は市場全体が好調に推移した」とし、特に携帯電話、カラーテレビ、DVDプレーヤーが好調だった。DVDは昨年三百六十万台で、延べ八百万台が全伯家庭にあることになる。VHSビデオデッキが千三百万台普及したことから類推すれば、「もう一山、二山売れる」と読む。特に〇六年五月にはサッカーのドイツW杯があり、ブラジルの特性としてそれまでは成長続くのでは、と予測した。
 建設不動産部会では阿部勇部会長(戸田建設)は、建設分野では「〇四年八月ぐらいから急激に引き合い増え、急激に回復して六・八%の成長となった。九七年の七・六%以来の七年ぶりとなる高い成長率だった」とまとめた。〇五年は「決して楽観はできない」としながらも、ブラジル全体で四・六%の伸びを予想。不動産分野では、パウリスタ大通りの賃貸事務所の空き部屋率は〇三年一五%だったが、〇四年は二〇%と上昇したと報告した。
 運輸サービス部会で平野候一部会長(日本通運)は、航空業界で好調のTAM、GOLに比べ、ヴァリグは経営悪化、ヴァスピは倒産するなど「明暗別れた」とした。ブラジル人はビザを必要とする米国経由便は、手続きの煩雑さなどから引き続き欧州経由便に流れている状況。グアルーリョス国際空港の入国審査と税関検査は「世界でも最悪。なんとかしてほしい」と要請した。
 ホテル分野では、〇四年の稼働率は五〇%だが、エコノミークラスだけに限定すれば七〇%だった。全体で三・七七%の成長。「〇七年まで三~四%アップする」と予測する。
 自動車部会の内山徹雄副部会長(YAMAHA)では、自動車分野では国内販売百五十万台、輸出六十四万台で六十八億ドルの貿易黒字を出し、「昨年は非常に好調」とした。〇五年は五・四%増産、二百三十万台生産を見越し、〇四年ほどではないが安定的な増産増販を予測する。
 特に日系企業が牛耳る二輪分野では、ついに百万台の大台を突破し、百五万台生産となった。十年ぐらい連続の右肩上がり成長だ。政府に対し、「税負担を軽減し、行政の効率化を勧めてほしい」と注文。
 中国やインドとブラジルがFTAを結ぶことによって、業界全体が大きな影響を受ける可能性を指摘。「中国は千三百万台を作っている。安価な粗悪品が入ってくると、業界秩序を乱すのでは」と懸念を表明した。
 最後に石田仁宏サンパウロ総領事から講評があり、「各業界の実績とも概ね好調で、ご同慶のいたり」とし、この場で発表されたブラジル政府への要請事項などをまとめて、三月三日にブラジリアで開催される日伯経済シンポジウムで会議所として要請することを提案した。   (おわり)

■会議所=業種別部会長懇談会=好況に沸く産業界=連載(上)=続く好調明るい年始「ルーラ再選の確率高い」