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試される戦後移民の団結=文協会長選控え 谷候補事務所開き=広報誌配布 支持拡大へ

3月8日(火)

 文協会長選を一カ月半後に控え、谷広海候補が当選への意欲をみなぎらせている。コロニアの役員選挙では前代未聞の選挙事務所をリベルダーデ区に設置。広報誌を配布するなど支持拡大に本腰を入れ始めた。戦後移民初の文協会長は誕生するか。谷候補の今後に注目が集まる。
 四日の事務所開きで、谷候補は「二晩眠れない夜を過ごして、一週間前に決心した」と、集まった百人以上の支持者らを前にあいさつ。「厳しい戦いが予想されるが、一世に残された仕事もあるのではないか。コロニアの関心を、文協と百周年に集めたい」などと訴えた。
 一九四〇年宮崎県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中、日本学生海外移住連盟(学移連)に所属し、アラゴアス州マセイオー市に移住した。アクセサリー・洋品店、ホテル経営など実業家として成功。ブラジル盛和塾の代表世話人を十年務め、二〇〇二年からはブラジル日本語センター理事長。
 そんな谷候補を支えるのは戦後移民一世が中心だ。
 バイーア州から事務所開きに駆けつけた黒須正明さんは盛和塾の仲間。「いまは千八百キロ離れた土地に住んでいるが、わたしも文協の会員。谷さんにぜひ勝ってもらいたい」とエールを送る。
 かつて学移連に所属した秋田県人会副会長の大槻洋志郎さんは「日系社会の未来に、学移連OBの知識、見識、良識を反映できればうれしい」
 同連OBで会社経営の六十代男性は「いままでは自分のことで精一杯だったが、ようやく社会のためにという気持ちが沸いてきた世代がわれわれ。谷さんに期待している」と語った。
 現職の上原幸啓会長が理事長を兼任する百周年祭典協会と対立姿勢を強める県連の中沢宏一会長も支持者の一人だ。
 「コロニアの意見に耳を傾けられる人に会長になってもらわなければ困る。上原体制のやり方には否定的だ」と明言。「ただ、反体制派を一本化する必要がある。わたしの立場でやれることはやっていきたい」と話した。
 四月十六日の総会で実施が予定される会員選挙は、今年創立五十周年を迎える文協始まって以来のこと。事実上、新しい文協会長が百周年祭典協会のトップに自動的に就任する可能性が高いため、記念事業の動向を大きく左右しかねないのが今選挙だ。日系社会に参加しない――ともいわれてきた戦後移民が、谷候補の応援に乗り出した。投票日まで残り一カ月半。上原会長ら複数の候補との競り合いに勝利できるか。戦後移民の団結力が試されることになりそうだ。
 「谷さんを文協会長にする会」事務所の住所はリベルダーデ区グロリア街279、サーラ91。電話11・3271・7735。