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最高裁、PSDB申し立て却下=大統領、窮地を脱す=告発は党の中傷に当たらない=PSDB、控訴には消極的

3月9日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】最高裁のセプウヴェダ・ペルテンセ判事は七日、ルーラ大統領が二月二十四日にエスピリト・サント州で行った、前政権執行部の汚職と隠滅工作の告発に対し、詳細説明を求めたブラジル社会民主党(PSDB)の申し立てを取り下げた。前政権時代の公社民営化を巡って取り沙汰された不正告発で、大統領は言質を取られないで済んだようだ。同判事は、大統領の告発はPSDB中傷に当たらないと判断した。
 ルーラ大統領によるカルドーゾ前政権の不正告発は、あわや弾劾審議に発展するかと思われた。前政権上層部の悪事を一部始終知っているとする告発についての最高裁での詳細説明は免れ、大統領は一応窮地を脱した。
 最高裁のペルテンセ判事は、公社民営化の黒い霧に関する大統領発言で、PSDBは大統領に対して尋問する権限がなく、告発は中傷に当たらないと判断した。大統領演説の中に中傷に当たる語句があれば、前以て訂正または入れ替えが行われる。労働者党(PT)が前政権の不正を疑うのは当然で、事実の立件を伴っていないため、大統領は告訴したのでもない。また、PSDBの名誉棄損にも該等しないとした。
 疑惑に対する解明と捜査は別物という同判事の判断だ。しかし、PSDBが求めたのは、党に対する中傷の説明ではなく大統領の言質であると同判事はみている。四項目からなるPSDBの公開質問状を見ると、政府の回答次第では大統領の弾劾裁判にも発展する可能性がある。その鍵を握るのは、カヴァウカンチ下院議長とみられる。
 質問状の内容は、(一)前政権の汚職は事実であるか。(二)告訴しなかった理由は何か。(三)汚職に関与した政府上層部の人物とは誰か。(四)告発が真実であると証明できるか。同判事の見解は、二項は刑法に触れない、一項は表現が不適当、残る一項は質問状作成手続きの問題とした。
 質問状の他に、自由戦線党(PFL)からもフォンテレス検事総長宛に、大統領の任務怠慢告発を最高裁へ取り次ぐよう要請が出ている。
 ペルテンセ判事は大統領の友人で、九八年の大統領選では副大統領の声もかかった。PSDBから提出された公開質問状の審理担当として、最高裁の十一判事からくじ引きで選ばれた専任判事だった。
 一方、PSDBは最高裁大法廷での再審理を求める意向だが、PSDB総務のビスマルク下議は大法廷への控訴に消極的な意見だ。まず一審判決を不服としたことで、最高裁の権威を傷つける。ブラジルが、前政権上層部の汚職主犯摘発を求めているか疑問だという。崖渕にあるのはPTかPSDBか、落ち着いて考え直すよう求めた。
 下院執行部が大統領弾劾案を受理するかの判断を待つのも一策ではないかと同下議が提言した。一方、大統領弾劾審議は時間の無駄とする下院議長の鶴の一声で下院聴聞委員会は同案却下の意向を示し、大統領演説の内容分析に終止符を打ったようだ。