3月9日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二月六日】労働者党(PT)の創立に参加し、党綱領を草案した社会学者でサンパウロ大学(USP)教授のフランシスコ・デ・オリベイラ氏が「PTはかえるの子と思ってオタマジャクシを育てたが、かえるにはならなかった」と述べ〇三年六月、PT離党宣言を行った。PTは権力の座に就くために変心したと教授は嘆く。
教授を失望させたPTの政策とは、グロバリゼーションの中にブラジルを取り込んだ経済政策を採り、その結果多くの失業者を生み、多くの官僚の台頭を許し、政府の土台を腐蝕したこと。以下は同氏との一問一答。
【党精神の二本柱とは】一は反専制。二は革新。しかし政権就任とともに、PTは保守派へ転じた。
【PTが保守派に転じたとは】党の看板だった労働運動では、労組幹部は労働機構の革新を忘れて労組貴族に変身し、保守派となった。
【PTの貧困対策は】貧困対策に従事するPT党員に職を斡旋しただけ。PTは貧困撲滅への挑戦を断念したのだ。
【カントリーリスクの低下は、PT政治の勝利ではないか】PTが強調するカントリーリスクは、始めからない。PTの政権獲得前、ドル通貨が四レアルに達すると思われ、PTが極端な政治改革を行うと思われた。しかし、それはなかった。だからカントリーリスクは下がった。
【PTが保守派になった理由】理由はグロバリゼーションの容認。ブラジルは九〇年代、主要産業で三百万人の失職者を出した。銀行は十五年前の三分の一の行員で仕事をこなしている。PTはその時点で社会的使命を失い、保守派へ鞍替えした。
【グロバリゼーションがPTを無力にしたのか】グロバリゼーションは、社会を変えた。体制を変革させ公社の民営化を促した。労組も無力になった。社会保障院改革で、労組は何もできなかった。銀行員ストを試みたが、伯銀と連邦経済公庫を除いて失敗した。
【労組幹部が政府官僚に変身したのは】彼らは労働者の期待を裏切って、特権階級へ鞍替えをした。彼らはグロバリゼーションの落とし子であり、年金基金の番人になった。その後ルーラ大統領の招待で貴族階級へ納まってすましている。彼らは旧ソ連時代にあった桃色の貴族に変貌し、時代を逆戻りした。
【PTとは、一体何か】ブラジルの最大党という名前の機械だ。イデオロギーと伝統を持つ政党だったが、いまはそうではない。
【ブラジル民主運動党(PMDB)とは何か】PMDBは機械ではない。酋長連合だ。選挙民も目覚め、ユートピアに乗せられることもなくなる。
【これからの政党政治は】PTとブラジル社会民主党(PSDB)を中心とする二大政党時代を迎える。両党の重心が兄弟党を集め、リンゴのような形になる。政治は傾向として,派手な個人競技がなくなる。政党は社会団体の集合で,政治団体の集合ではなくなる。