博研(サンパウロ博物研究会)の伝統ある「キャンプ」の推移は、時代を映していて面白い▼一九五〇年に第一回、都合で二年(二回)休んだのみで、毎年セマナ・サンタ(聖週間)に行ってきている。こんなに半世紀余りも続いている〃自然学習〃の催しも珍しい。キャンプを最初から指導してきた在野の植物学者・橋本梧郎氏の理念「ブラジルの自然を知ろう」は、今も生きている▼ところで、キャンプは、八四年までは、訪ねた先でテントを張って勉強し、楽しんだ。八五年以降は国内の道路事情が好転、遠出が可能になった。テントを持たずに行き、安いホテルや施設に宿泊している▼ところが、ブラジルでも庶民の所得がじょじょに上がり、セマナ・サンタなどは絶好の旅行期間と化した。ホテルは抜け目なく、パコッチ(一定期間の宿泊・食事を一括勘定とする)を設け、パコッチに満たない時間しか滞在できない博研キャンプは、高くつくようになった。そのため、近年はセマナ・サンタから日取りをずらしてキャンプを実施するように計画している▼現在、キャンプを愛してやまない人たちの意見はさまざまだ。「昔のようにテントを張ってキャンプしたい」「もう高齢なので、多少高くついてもホテルのほうがいい」など▼ブラジルの旅行事情が変わり、博研会員は高齢化した。変わらないのは、五十年余り続いてきて、なおも「やろう」とする気持である。近い将来はどうだろう。後継者はいるのだろうか、と案じる。(神)
(神)05/3/9