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生まれ変わるバタタ広場=コチア産組跡に多目的ビル=また一つ消える日本移民の足跡=サンパウロ市

3月11日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】二十世紀前半、マンモス組合と言われたコチア産業組合の本部があったことから、サンパウロ州はもとより他州からの穀物の集荷、取引のメッカとされたサンパウロ市ピニェイロス区のバタタ広場が姿を消すことになった。同広場にはサンパウロ市の新都市計画に基づき、多目的ビルが建設される。
 穀物取引とくにバタタ(ジャガイモ)を一手に担ったことがバタタ広場の名前の由来となった。バタタを積んで出入りするトラックや、通りを埋め尽くしたバタタ即売露天商から転げ落ちたバタタが、付近一帯にゴロゴロしていたと当時を知る人は言う。これまで残されていたコチア産組の倉庫も解体され、本部跡の鉄骨も取り外された。これによりバタタ広場は消滅し、コチア産組の崩壊とともに、また一つ日本人移民の足跡が消えることになる。
 広場の開発計画は二〇〇二年に承認されていたが、マルタ前市長がレボウサス通りの地下トンネルを最優先事業として選択したことからプロジェクトは先送りとなった。このため同広場は放置されたままで、付近一帯はレストランやナイトクラブが林立して夜はネオンが灯りにぎやかになるが、白昼は死の一角とされてきた。
 再生計画により広場には多目的の高層ビルが建設される。ビル内に専門学校を開設するほか、オフィス、商店、映画、レストラン、バールのテナントを募集することになっている。また三年後に開通予定のルース=ビラ・ソニア間の地下鉄四号線が同広場の地下を通過することから、ファリア・リマ駅とビルの出入口とを直結する計画だ。これにより交通の至便さを図る。
 建築は民間主導となるため、市当局はサンパウロ州不動産取引所のメンバーと具体的に煮つめ、早い時期に着工したい意向を示している。