3月11日(金)
【ポルト・アレグレ発】「ブラジルに新しい歴史が刻まれました―」。トヨタ自動車の南米法人トヨタ・メルコスルの岡部裕之社長は声高に宣言した。九日午前十一時半から、リオ・グランデ・ド・スール州ポルト・アレグレ近郊グアイーバ市で、トヨタ完成車両物流センターの開所式が行われた。ジェルマーノ・リゴット州知事ら地元州関係者、長島浩平ポルト・アレグレ総領事、報道陣、トヨタ社員ら百人を越える関係者が出席。ブラジル国内における同社の車両流通発展を祝った。
昨年末までアルゼンチン・サラテ工場生産車の輸入は、エスピリト・サント州ヴィトリア港を経由する海路輸送。よりスムーズなブラジル内での流通を確保するために建設された同物流センターにより、ディーラーのもとに届くまで最長三十六日間かかっていた期間が約半分にまで短縮可能となる。
岡部社長は「二○一○年までには中南米市場でシェア一〇パーセントを目指す」と力強く話し、「(センター開所への)州と市の協力は計り知れない」と感謝の言葉を述べた。
リゴット州知事はセンター誘致の経緯に触れて、「世界有数の大企業であるトヨタを迎えることは大きな喜び。州の発展にも繋がっていくだろう」と、同センターに大きな期待の言葉を寄せた。
同センターの敷地面積は五万八千平方米で、事務所、車両をブラジル規格に調整する整備格納庫を含めた建築面積は、二千五百平方米。
今月からサラテ工場で生産が開始された新型ハイラックスとアフターセールスで必要となる部品の配送拠点となる。
投資額は一千万レアルで、雇用数は社員九人、オペレーション工員二十二人、作業員二十三人を数える。
年間生産される新型ハイラックスなど四万五千台のうち、四割がブラジル国内向けに生産されており、現在の予約数は四千台近いという。五日からすでに販売は開始されており、○六年には約一・五倍の販売拡張を目指す。
式後には開所を記念して、イペーの植樹が行われた。鏡割りも行われた昼食会では、たる酒やワインが振舞われた。岡部社長やリゴット知事が立ち上がり乾杯する姿も見られ、会場は和やかな雰囲気に包まれていた。