3月12日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】学生の運命を左右する大学入試制度が今、揺れている。発端となったのは政府が制定した優先合格制度だ。これは合格者総数のうち、黒人が二〇%、公立校卒業生二〇%、インジオや障害者五%を占めるよう義務づけたもので、二〇〇三年から実施された。
政府の主旨は学習環境に恵まれない学生らへの不平等をなくするのが狙いだとしているが、優先合格対象外の生徒からは逆に、差別待遇だとの声が強まっている。これを理由にこれまで五人が訴えを起こし、二人が勝訴を勝ち取って、晴れて大学の門を潜っている。
関係者は、高校や予備校で必死に勉強して学力を身につけ、合格点を得ながら、自分より点数の悪い受験生に合格を奪われるのは、屈辱以外の何者でもないと指摘する。また最高学府でありながら、この制度により学力低下は免れないと危惧する向きも多い。これに対し大学側は収容能力が少ないためで、政府の補助が必要だと答えている。
一例をあげると十七歳の学生は、リオ州立大学法科の定員三百十二人のうち百七十五番となったが、不合格となった。失望は隠せず、月五百レアルの予備校代を払って来年を目指すが、合格点も関係なくなり、何を目標として良いやらとボヤク。
これに対し一般の受験者と競合させずに別枠を設けた大学もあり評価されている。サンパウロ連邦大学(Unifesp)は従来の別枠に加え二十七人の枠で、政府が制定した優先者同士で順位をつけて合格を決めた。カンピーナス州立大学(Unicamp)では、第二次試験で、公立校卒業生に三十点、黒人に十点の追加点を与え総合点を競わせた。