3月15日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】サンパウロ市フランコ・ダ・ロシャ非行少年更生施設(Febem)で十一日夜、収容されている少年グループが更生を指導する女性教官を集団で強姦するという不祥事が発生した。強姦事件はフェベン開設以来始めての出来事で関係者はショックを隠せないでいる。警察では犯行グループ五人の身柄を拘束した。うち二人は十八歳を過ぎていることから、直ちに婦女暴行罪で起訴し、未決囚刑務所へ送られた。
管轄の警察署長は「あるまじき野蛮な行為」とし、厳罰を適用するとの意向を示している。いっぽうフェベン側は声明で、事実を認めて遺憾の意を表し、刑事犯罪として徹底追求していくとともに、被害者に賠償金をふくむアフターケアを行っていくとの方針を打ち出した。
被害者の家族はフェベンの管理責任を負うサンパウロ州政府を告訴するとの態度を明らかにしている。フェベン内での度重なる暴動や逃亡、非行について、収容者の保護者を含む関係者の一部は、人道主義を建前とした外部からの圧力で少年らは甘やかされていると指摘し、少年とはいえ犯罪者なのだから厳しく扱うべきだとの声が強まっている。
同フェベンでは十日夜から暴動が発生していた。十一日午前七時、出勤した女性教官七人と男性教官二人が少年らに拉致され、人質となった。そのうち一人は共稼ぎの被害者の夫だった。この中の二人の女性教官がそれぞれ別の部屋に連れていかれた。一人は少年らを説得したため被害はなかった。しかし二十九歳の女性教官は説得が功を奏せず、三人に強姦された。
三人は婦女暴行罪で逮捕された。このほか二人が見張り番を勤めたため幇助罪で逮捕された。被害者は人質となっている夫を殺すと脅かされたという。
いっぽうでサンパウロ市タトゥアペ区のフェベンでは十一日夜、同フェベン史上最大の三百七人の大量逃亡が発生した。サンパウロ市内のフェベンの逃亡でこれまで最多とされていたのは、九九年九月の、現在閉鎖されているイミグランテス施設の六百四十四人で、今回は過去で二番目となる。
同フェベンに面したセルソ・ガルシア通りは逃亡者捕護のために警察が放ったガス弾の中、抵抗する少年らと警察の衝突でさながら市街戦の様相を呈した。これにより三十九人が負傷した。結局百六十三人が連れ戻されたが、残りは車を盗んだり、バスなどを使ったりして逃亡に成功した。逃亡者の一人の母親は、「もし家に来たら、首根っこを押えて警察に突き出すつもりだった」とし、拘束されたの知ってホッとしていた。にもかかわらず、同フェベンでは一夜明けた十二日、さらに四十人が脱走し二十五人が拘束された。
フェベン管理当局はこれについて、先に解雇した一千七百五十一人の職員の補充が完了しておらず、警備が手薄となっているのが原因だとして、急拠百五十人の警備員を配置することを指示した。