3月15日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】社会保障院(INSS)内部での年金に関わる不正や横領で、過去一年間に十四億レアルの被害がでていることが、連警の調査で明らかになった。連警は、これはあくまでも氷山の一角だとして実際にはこの三倍に相当する横領があるとみなし、追求していく構えを見せている。しかし犯罪が巨大組織で行われていることから立証が難しく、捜査が難航しているのが実情だ。
連警では昨年一月から今年二月まで、全国三十四カ所のINSS事務所で強制立入検査を行った結果、不正や横領金が十四億レアルに上った事実を突き止めるとともに、百六十一人を逮捕した。うち百人は現職員で、残りは弁護士、会社経営者など外部の共犯者だった。
逮捕された職員のうち八十人は、裁判に三カ月以上の期間があるため現職に復帰している。公務員法で犯罪が確定するまでは罷免や強制的配置置替えはできないと定められているからだ。これが捜査の障害となっている。犯罪が組織ぐるみのため、警察で取調べを受けた容疑者が証拠いん滅や仲間の口封じ工作を始める。
セアラ州では逮捕された職員が釈放された翌日に火災が発生、連警が押収しようとしていた書類が残らず消失してしまった。パライバ州では連警に協力して証言した職員が脅迫やいやがらせを受ける騒動が持ち上がっている。
年金をめぐる不正は長年、悪の病巣といわれてきており、連警が連邦検察と社会福祉省と連携してメスを入れることになったが、巨大組織にどこまで立ち向かえるかが注目される。