3月16日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】ダヴォスの世界経済フォーラムでは、ブラジルといえば高金利が通り相場になり、債務不履行の泥沼で苦戦中と思われている。
国際通貨基金(IMF)の前財務主任、ケネス・ロゴフ氏は、インフレを引き起こさず基本金利を下げるには、中央銀行に必要な権限を与え、構造改革を急ぎ政府歳出の削減を図ることだと、次のようにブラジルの金利政策を指南した。
過去数年を振り返ればブラジルの財政状況は改善されたが、債務危機は解消されていない。債務不履行の呪縛から解放されるには、現在がチャンス。ブラジルの欠点は、これが最良の方法だと分かっていても対応が絶望的にのろいこと。
基本金利は予算編成や財政投融資、経済成長に影響を及ぼす重大問題である。インフレの見張り役として年間六%以下に押さえ、これからも長期間安定したインフレ率を保持する立場を考慮すれば、中銀の現在の判断は理解できる。
基本金利を簡単に下げる方法は、政府歳出を厳しく引き締めて通貨政策を緩めること。中銀の独立権限とは、もう少し権限の幅を広げることで自由放任ではない。必要な権限があれば、低率インフレも規制で操作でき、低金利政策でも予想以上の効果がある。
ブラジルのインフレは悪性なので、中銀は苦労している。ちょっと油断して基本金利を下げれば、すぐにインフレは再発する。インフレ対策の難しさが分からない外部から圧力がかかると、中銀内部でも動揺が起こり、役員の交代などが起きる。
中銀は基本金利の操作はできるが、実質金利の操作は一時的にできても長期間はできない。中銀の権限が制限されているからだ。中銀に対する政府の対処は、いつも後手だ。インフレを抑制できないのも金利を下げられないのも、政府の構造的問題に原因があるといえる。
もう一つの解決法は、インフレと基本金利の問題を中銀に一任すること。これまでの構造改革は中途半端で、中銀に必要な権限を与えなかった。中銀一任で失敗を恐れるなら、第二案、三案と実施してみる。
他にブラジルが急ぐべき構造改革は、金融制度と市場開放、労働力の融通性を高めるための労働法改正、など。それより致命的なのは、改革が絶望的にのろいこと。債務危機の悪夢から抜け出すには、是非とも突破しなければならない民族性の壁だ。
世界の経済環境が好転した今、改革を急ぐべきだ。経済環境はいつ逆転するか分からない。ドル安はしばらく続くが、一年位したある日、急転直下好転する。ブラジル経済がドル安のために低迷しドルが好転するときは、乗り遅れないように注意することだ。