3月16日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】新下院議長の選出劇に続いて、また珍事が起きているとサンパウロ大学(USP)政治学科のガウデンシオ・トルクアット教授が述べた。政府情報部のマウロ・M・リーマ部長を中心とする一行が、ブラジルに秘密警察を設置するための訓練を受ける目的でキューバへ渡った。
キューバ革命政権が国民の間に敷いた巨大な社会統治機構が、研修のテーマだ。コロル政権によって廃止された国家情報機関(SNI)を復活させ、市民による市民監視システムを構築する考えらしい。
軍政に嫌気が差してキューバへ逃れ、当地を第二の故郷とした心情は理解できる。しかし、納得できないのは、ブラジルの国家治安モデルをキューバに求めることだ。また反米闘争を政治形態とするキューバの制度を是認するのも問題だ。
キューバの教育と医療システムは、目に見るものがあるらしい。しかし、独裁国家のシステムが、民主主義国家のモデルになり得るか。ブラジルの情報部員が、盗聴や監視カメラ、密告制度をベースにした警察国家システムを習得するのは、アルカイダによるアフガン国民の監視システムを導入するようなもの。
不可解なことは、まだある。ミランダ人権相が人権問題を協議するため中国を訪問した。中国は市場を開放したが、独裁政治は続き自由は閉ざされている。弁護の機会がなく毎年、一万人が処刑され、二十五万人が重労働で服役している。子が親を密告し投獄することが美徳とされる国に人権があるのか。
中国のメニュー輸入など、冗談にも言ってくれるな。キューバや中国のような拷問や強制収容所、年中行事の処刑、親子同士の監視密告制度が定着している国から、どんな国家治安システムを導入するのか。政府は何を考えているのか。