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南から北へ、夢追う新開拓者魂=アグリビジネスに賭ける農業生産者

3月16日(水)

 【ヴェージャ誌】草木をなびかせ、ブラジル北部へ国中から開拓者がはせ参じている。石器時代のように、今まで住み慣れた洞窟を抜け出して夢を追う姿は古今東西同じ。ヨーロッパの清教徒による米国西部開拓時代のように、ブラジルで民族移動が起きている。
 ブラジルの場合、北東部地方の住民がリオ市やサンパウロ市へ移動する一方、新しい開拓者が北部と中西部へ押し寄せている。北部の妊娠率は減少したのに人口増加が、全国平均より八〇%高いとブラジル地理統計院(IBGE)が発表した。
 人口が最も増えたのはロンドニア州ブリチ市。移住者の九〇%は南部と南東部からやって来た。開拓者を魅了したのは、土地が肥沃で安価だったこと。地価は全国平均の五分の一だった。入植者の中には食料品店や製材所をたたんで来た、にわか百姓も多い。トランク一つと体に着ている服だけで到着する人も多い。
 しかし、時々文明の香りが懐かしくなるらしい。一家は小型機をチャーターして、北東部の海岸へ日帰り旅行をする。入植地は金儲けの場所だが、孤独との戦いでもあるという。
 ブラジルの開拓史全盛時代は一九三〇年代。何十万世帯の移民が政府から土地の無償提供を受け、中西部へ入植した。その次が七〇年代。軍事政権によりロンドニアやパラーの北部地方とマット・グロッソ州へ多数が入植した。特にロンドニア州には後続部隊が続々つめかけ、人口が急増した。
 最近の入植者は専業の農業生産者ではなく、アグリビジネス実業家でもあることが特徴だ。捨てた故郷を思い出して泣くことが、しばしばある。しかし、札束の山を見ると慰められるという。
 かつては西部劇に出てくるような殺伐とした田舎町だったブリチ市にも、高級住宅区が造成され、モダンな家並みが目立ち始めた。社交クラブもできた。〇四年の農業は外れ年だったが、生産者の表情は明るい。