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根強く残る女性への暴力=姦通した妻の殺害で無罪判決

3月16日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】女性がカーセックス専用の新型車を注文し、妻のフリー・セックスと経済的自立を認められても、女性に暴力を振るう男性を罰する刑法改正案は欠陥法であるという。SM狂や、アルコールが入ると狂暴になる夫に悩む妻は少なくない。同法はこうした女性の救済に応えていないと女性団体が訴えている。
 子宮ガンは怖くないが、夫の暴力的なセックスは妻にとって恐怖となっている。妻の貞操は刑法から削除されたが、貞操は肉体に刻印されるもの。不倫をし、異臭を放つ夫の体を拒絶する権利は妻にもある。
 二〇〇五年国際婦人デーが八日に開催される。テーマは妊娠中絶と家族計画、家庭内暴力、社会福祉制度、庶民住宅など。政府の女性特別省と宗教団体や保守派団体が倫理観について議論を交わす予定だ。
 ブラジルには族長的伝統があり、女性とはきゃしゃな装飾物であり、人格として認めない偏見がある。この男女平等に反する伝統的偏見は、一般社会や司法判断の中に今も根強く残っている。
 性体験のない無垢の女性や生涯二夫にまみえずとした条文は、二月に削除された。しかし妻の性交現場を押さえた夫が、妻を殺害できる権利を主張する習慣はぬぐえないようだ。この習慣は一九五〇年代以降徐々になくなっていったが、司法判例にはまだ生き残っていた。夫に殺害された妻は死後、被告席で裁かれる。
 九九年から〇三年までに同じケースが四十二件あり、二十三人は昔の主張が聞き入れられ無罪放免となった。夫婦と家庭や、夫婦と暴力の定義が法的に判然としていない。今度の国際婦人デー大会では、甲斐性のない夫や愛情豊かでも家族の扶養能力がない父親、妻の不倫を是認するヒモなど忌たんなき討論が交わされる。