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大豆『オーロラ』収穫=グァタパラで=サンパウロ市の愛好者ら満喫

3月17日(木)

 パラグァイのイグアスー移住地特産として知られている大豆「オーロラ」が、サンパウロ州グァタパラ移住地で健全に生育して、十三日に収穫日を迎えた。この大豆は、非遺伝子組換え品種で、タンパク質含有量が平均的品種よりも高く、四一パーセントほど、健康的であることはもとより、味噌、納豆、豆腐などの食品加工に最適、という評判が日本でも定着している。
 〇三年十月初旬、グァタパラ農事文化体育協会(川上淳会長、茨城県)が親交のあるイグアスー農協(井上幸雄組合長、奈良県)より種子五十キロを購入した。
 文協の委託を受けて、島根県出身の新田孝二さんが十月十七日に移住地の中にある自分の畑に種子を蒔いた。「このような品種の栽培は初めての試みのため、播種後の管理に神経を使った。が、天候にも恵まれて、ほぼ満足できる結果となった」と新田さんは安堵したようだ。
 新聞やテレビで報道されているように、ブラジルでは南リオ・グランデ州などが過去六十年で最大の被害、と評されるほどの干害が農家を襲っている。パラグァイのイグアスー移住地も例外ではなく、今季は深刻なようだ。そのような中で、グァタパラ移住地の大豆は比較的に豊作だ。
 この豊作の「オーロラ」を自分の手で収穫してみよう、とサンパウロ市在住の愛好家三十名が貸切りバスを仕立て、十三日、移住地に出かけ、栽培者の新田さんや文協関係者の手助けを得ながら大豆を一本一本、手で刈り取り、畑のそばに広げられたシーツの上に広げて、棒で叩いてマメを取り出した。雲ひとつないような炎天下で、時計の針を半世紀も巻き戻すような、極めて原始的な収穫作業を楽しんだ。収穫した大豆はそれぞれが手土産に持ち帰った。
 愛好家の中には八十歳を過ぎても元気な根本三郎さん(茨城県)と奥田米佛門さん(大阪府)がいた。収穫で汗を流した後は、文協会館で婦人部員が精魂込めて作った昼食料理を食べながら、歓談に花を咲かせた。
 共通の土俵をもった交流は楽しい。オーロラ大豆を使った味噌汁や豆腐、山くらげを入れた煮付け、などグァタパラ独自の料理もあった。
 歓迎挨拶の中で、文協の川上淳会長と婦人会の高木みよ子会長(山形県)は、移住地が七月十日(日)に入植四十三周年を迎えることに触れ「当日は、小泉首相から寄贈された揮毫の記念碑も除幕される。『感動』を一緒に共有するためにお出かけください」と入植祭に参加を呼びかけた。
 移住地で「山くらげ」栽培の中心人物・池津勝治さん(茨城県)は、自ら育てた苗木を示しながら「今年は栽培仲間が九人に増えたので、年間を通して乾燥山くらげを皆さんに供給できるように努力する。今年は日本から二トンの注文が届いている。(山くらげの)評判に私自身が驚いている。サンパウロなど都会に住んでいる皆さんにも、希望に応じて苗木を提供して、自宅で山くらげ栽培を楽しんでいただこうとも考えている」と移住地特産を宣伝していた。
 小泉首相をも感動させた移住地で婦人部も一体となった〃村おこし〃運動に拍車がかかっていることを暗示させる一日であった。