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どう決着?役員人事、援協きょう総会=焦点、和井会長の去就、退けば後任は誰か=副会長5人の意見聴く

3月19日(土)

 サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)は十九日午後定期総会を開き、役員改選を行う。和井氏が妻の看病などのために、現職を全うすることが困難な状態。酒井清一第一副会長が会長代行として、特に夜間の式典・イベントなどへの出席をこなしている。シャッパは一つしか提出されなかかったため、総会で承認される。和井氏の去就や、仮に同氏が会長を退いたときの後任人事が気にかかるところだ。今月二十三日午後に決まる役付けの行方は、どうなるのだろうか。

 シャッパにはもちろん、和井会長が理事の一人として、名を連ねている。日本政府などにコネを持つ同氏の存在が、やはり組織にとっていかに大きいかが、現われる形になった。
 ただ、「和井会長一人で、運営方法を決めるわけではありません」と関係者の一人。理事を辞任して、名誉会長に就くという筋書きが、完全に消えたわけではないという。「そのために、補欠がいるわけですから」。
 別の一人は「和井さんだったら、皆が敬意を表します。でも、同氏がいなかったら、結構やりあうんですよ」。意見の調整役としての手腕も期待されており、何らかの形で援協に残ることは、確かだと言えそうだ。
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 新聞などに、会長、副会長、専任理事の氏名が記された広告が掲載されることがある。その氏名を見てある戦後移住者が発言した内容が、援協のトップ人事を言い当てていて印象的だ。
 「和井会長を除いたら、全員大したことないじゃないか。どんぐりの背比べだ」。
 つまり、和井氏が現職を下りた場合、五人の副会長の誰が会長に昇格しても、おかしくないということだ。
 役付けはこれまで、理事会での推薦で決めるが、長年の慣例だった。今回は「選挙で決めたらよい」という意見も出ている。さらに、「副会長の序列も廃止すべき」と考えている人もいるようだ。
 保守体質の強い援協だけに、順当に位置が上がっていくのが無難だろうとの見方が有力かもしれない。
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 副会長五人は、年間約四十億円のモヴィメントを誇る団体の課題などについて、それぞれの立場でどう考えているのか聞いてみた。
 酒井第一副会長(財務基金委員長) 現状をなるべく維持していくこと。問題が起きた時には、みんなで話し合って解決策を考えたい。
 尾西貞夫第二副会長(特別企画委員長) 日伯友好病院が黒字を出している一方で、各施設が赤字に悩むのはおかしい。同病院の利益をほかの施設に回してもよいのではないか。
 野村次郎第三副会長(あけぼのホーム経営委員長) 入居費と必要経費があまりにも、アンバランスになっている。これでは、赤字は減らない。入居費を上げる一方、コストを削減し、本部の扶助率を一五~二〇%に抑えるべき。
 森口イナシオ第四副会長(福祉委員長) 二世の立場として、一世の方が苦労して残してくれたものを守るのが使命。様々なイベントを活発化して、収入を増やす方法を考えたい。
 菊地義治第五副会長(人事委員長) 医療保険のシステムが崩壊しそうな今、友好病院の経営は決して楽でない。保険会社からの医療費の支払いが、不良債権化しないよう、策を練っていかなければならない。
 役付けについての腹案は、おそらく内部で出来上がっていることだろう。九十二歳になる和井氏を会長に担ぎ出さなければならないのは、若手の人材が不足していることを晒していることでもある。援協にとって、不幸なことなのかもしれない。