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通例となる無利子割賦販売=商品の流れを優先=4回払いが割賦の半分占める=自己管理ズサンな者には蟻地獄

3月22日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】サンパウロ州商業会(ACSP)は十九日、無利子の月賦販売が商業界の通例となり、やがて消費者はローンの蟻地獄へはまりかねないとする懸念を明らかにした。ACSPの調査では、この二年間に無利子四回払いが割賦販売のほぼ半分を占めるに至った。メーカーは四カ月無利子の掛け売りで商店へ卸すから、現金払いも四カ月払いも同等扱いとなり現金販売の意味が薄れた。専門家は、原価プラス利潤を売値とする商業の観念が変化したとみている。
 先進国経済の特徴で利潤確保よりも、商品の流れを優先する考えがブラジルにも浸透しつつあるようだ。メーカーの販売戦略が二年前とは異なり、消費者心理をくすぐり、衝動買いを促す最後のもう一押し作戦に変わった。
 大手の小売ネットワークから小ブティックに至るまで、無利子割賦払いは通例となり、時代のうねりとなっている。その流れはスーパーの日用品売り場でも起きている。今日食べたものを四カ月後に払う。この消費習慣により、自己管理のズサンな者には蟻地獄が大きな口を開いて待っているとACSPは警告した。
 メーカーからの仕入れ価格には四カ月期限で金利は含まれていないので、現金払いでも金利分を差し引けないというのが小売店の言い分。現金購入が経済的という時代は終わったらしい。メーカーは敏速で大きい、商品の流れを重視するようになった。総売上高がメーカーの病の全てを癒す。利益よりも売上高優先だ。
 この「売らんかな」作戦で買い物を上手にするには、店員と価格交渉することだ。消費者擁護団体はこの商法に打つ手がないとして傍観している。消費者は誰でも、無利子割賦の標語に疑問を持つ。地方からサンパウロ市へ物見遊山に来たものには、信じられない光景らしい。
 ACSPの統計では、百五十万件の小切手に対する信用問い合わせのうち、百三十五万件は四回払いの先付け。先付け小切手の総額は同時期のクレジット販売とほぼ同額だった。ポント・フリオの支配人、ブリット氏によると、二年前に消費者はそんなマジックが信じられないといっていたという。
 ロージャ・セムでは、ローンの支払いに来た顧客が手ぶらで帰らないという。一つの商品を売れば、顧客は必ず店を三回訪ねてくれる。足繁く店に通う客は自然と常連になる。これは無利子割賦の大きな相乗効果とみられる。無利子割賦システムは、メーカーとの取引にも新しいビジネスの可能性を開いている。
 一方、現金価格はフィクションだという厳しい見方もある。利子は仕入れ価格に転嫁済みだが、感づかれないよう卸元が注意している。電子製品などの場合、各商店で販売条件を調べ、現金価格を算出する必要がある。同じ商品が、商店により価格にバラ付きがある。購入を決めたら、値切り交渉の材料にするようACSPは忠告している。