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2歳女児、40日ぶりに解放=元気で身なりもさっぱりと=挙動不審の子守り女性を事情聴取=サンパウロ州

3月22日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】サンパウロ州海岸地方で誘拐された二歳の女の子が十九日、四十日ぶりに解放され、サンパウロ市イジエノポリス区の自宅に戻り母親の胸にしっかり抱かれた。女の子は元気で身なりもさっぱりしており、犯人らが丁寧に世話していたことを物語っていた。
 女の子はこの日がちょうど二歳の誕生日で、家族と知人らは予定していなかった誕生会を急きょ開き、これまでの気苦労を消し去るかのようにパーティで感激に浸っていた。女の子はたくさんの花束とプレゼントにはしゃいでいた。警察では犯人らの身許割出に全力を挙げているが、誘拐の時に同行していた子守りの女性に不審な言動があることから、最重要参考人として事情聴取を行っている。
 事件はカーニバル連休の二月七日、家族で休暇を過すために訪れていたサンパウロ州海岸地方サンセバスチオン市で発生した。女の子を乳母車に乗せて散歩していた二十二歳の子守りの女性によると、午前十時ごろ、緑色の車が停まり、中にいた三人の男に拉致されたという。同市を出てアパレシーダ道で午後六時ごろ子守りは降ろされ、車は走り去った。
 その直後、電話で両親に身代金百万レアルの要求があった。家族は元警察署長を雇い、代理人として交渉に当たらせた。計四回の電話交渉で、三万レアルから四万レアルで決着がついた模様。
 その間、家族の要求に応じて女の子の写真八枚が送られてきた。十八日の身代金の受渡はドラマを地でいくように、代理人の携帯電話に指示が入った。犯人はまずタクシーに乗らせ、その後八十メートルくらい歩かせて、尾行がついていないか確認している様子だった。最後にサンパウロ市西部のファべーラ(スラム街)内に金を置いて立ち去るよう命じた。
 翌十九日、女の子はサンパウロ市北部のジョゼ・ストロポリ市立病院の前で、盗難車の後部座席で眠っているところを発見された。解放までに四十日間かかっており、交渉が長引いたとは言え、女の子の年齢を考えると拉致の期間が長すぎるのも謎の一つとされている。
 警察が子守りの女性の供述通り、現場を走行して実況見分を行ったところ、時間にかなりの喰い違いがあった。さらに降ろされた場所の近くで、警察や家族に通報する前に約二十分間ベンチに座っていたのを近くのガソリンスタンド従業員が目撃していることから、この女性が何らかの「時間稼ぎ」をしていたのではないかと警察はみている。
 サンパウロ州では過去二年間に六人の子供が誘拐され、身代金を奪われている。子供は証言が定かではなく犯人の顔も特定できず、また親も警察に届けずに早期解決を願うため、犯人らにとってメリットが多く、今後もこの種の犯罪は増えるとみられている。