3月23日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】政府はこの程、ブラジル人が外国で合法的に就労できるように、外交ルートを通じて各国に働きかけることを明らかにした。
これはブラジルを舞台に暗躍する国際マフィアの動きを阻止するのと、年々増加して歯止めが利かなくなったブラジル人の不法出入国に対応するための措置。政府当局は「出国や外国での就労を奨励する訳ではないが、マフィアの餌食となって高額のあっせん料を取られるより、正規の仕事に就けることでトラブルがなくなる」との見解を示している。
外国で就労するブラジル人は二百万人と言われ、二〇〇二年には十万人が出国している。不法出国などで実数がつかめないため、この数はさらに増えるとみられている。最高は米国の八十万人、次いでパラグアイの四十万人と言われている。このほとんどが不法滞在だ。
これを受けて政府は手始めにこの両国と交渉し、続いてポルトガル、スペイン、カナダおよびメルコスル諸国と話し合の場を設ける。とりあえずブラジル人が難なくこなせる庭師、理髪、電気、自動車修理、ウェイターの職場の解放を要請したいとしている。また他の先進国にも就労ビザの発給を要請していく。
外国に進出している企業が自由にブラジル人を連れていき就労させられるよう、法律の改正案を上程する意向も示している。現在の法律は一九七二年の古いもので、対象者は技術系社員に限られている。
政府の今回の措置の発端となったのは、米国でここ一週間に、不法に滞在し就労していた七十五人のブラジル人が逮捕されたことによるもの。大量逮捕は史上初めてのことで、アメリカ当局はさらに取り締まりを強化するとの態度を強めている。この逮捕にともないマフィアの動きも明らかとなり、上議の間で政府の対応を迫る動きが出ていた。