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04年、大豆バブルが崩壊=相場をもてあそぶ先物取引の怪

3月23日(水)

 【エザーメ誌八三六号】気候の変化、作物への病原菌の侵入、消費者の嗜好の変化で、大豆の国際価格が変動する。農産物価格には、他にも不可解な要因がある。ブラジルの農業生産者が知らない所で、農産物価格が一人歩きをしているのだ。
 世界の大都市には必ず投資信託会社があって、コモディテイ(国際必需商品)の先物取引が行われている。ブラジルのコモディテイには、他に砂糖や綿、カカオなどがある。先物市場では二〇〇四年、一千億ドルの投機資金が宙に霧散した。
 〇四年の第3・四半期まで毎年前年比三六%増の勢いで、一千百七十七億ドルの資金が先物に投資された。これはブラジルのコモディテイに対する買いかぶりだと、ニューヨーク市場関係者は思っている。
 ブラジル・コモディテイの買いかぶりは一九八〇年、東京で起きた不動産バブルと同じメカニズムだ。二〇〇〇年のインターネット・バブルも同じ。よく観察していると、定期的にバブルが形成されている。
 コモディテイの世界では鉱物資源と原油がいつも花形だった。しかし、中国など途上国の食料需要の増加で、流れが変わった。農産加工株へ投資家らがいっせいに飛びついた。
 〇四年の人気株は砂糖で、年間五八・六%の利回りがあった。過去五年間の投資市場は、先物と穀物取引一色に塗り潰された。ちょうどエンロンの倒産でインターネット・バブルが崩壊した後、行き場のない投機資金がコモディテイへ押し寄せたのだ。
 毎回のことだがソロス一派のような仕手筋が、コモディテイ市場を投資の黄金郷のごとく吹き込んだ。投資案内誌には、コモディテイはまだ上がると、いい加減なことが書いてある。多くの投資家がまんまと引っかかった。
 インターネット株式市場には、本物の生産者や穀物商、現場の輸出業者が参加している。そして大豆市場で何が起きたか。二〇〇〇年から〇四年初めまで続騰し、〇四年の中ごろがピークかと思われた。そこへ中国が買いに入り、大豆価格は六十キロ入りで二十三ドルと、過去十五年間の最高値の二倍まで暴騰した。
 中国の飛び入りは誰も予想しなかった。調子に乗った大豆生産者は、広範囲に植え付けて大豊作となった。しかし、ブラジルの生産者は当てが外れた。それでも生産者は〇四年の夢が忘れられない。
 生産者には〇四年初めの大豆価格が投機市場のイタズラだったことが分からないようだ。農業生産者は、農産物価格がとんでもない所でもてあそばれていることを知らねばならない。