3月23日(水)
「日伯総合センター建設予定地の隣接地は、長年にわたって不法占拠され、貧民窟となっている。地主は、専門家による会議を開催し対策を検討したが、貧民を立ち退かせるためには、少なくとも六年の歳月を必要とする旨の結論に達した」と、サンタクルース病院の横田パウロ理事長はニッケイ新聞社に送った文書に記した。
「今からでも遅くない」と題されたこの文章は、ブラジル日本移民祭典協会(上原幸啓会長)が主催して十二日に行った日本語説明会に出席した感想と意見をまとめたもの。以下、要約、紹介する。
「説明会で発言したのは、同協会に対して間接的に主導権を行使する、元高栽判事カズオ・ワタナベ氏を領袖とする〃グループ〃と見解を同一にする人々のみだった。その内容は、事実関係が歪曲され、あるいは部分的であるため、全面的に首肯しがたいものであった」と手厳しい。
日伯総合センター計画に対し、「特に立地条件につき、日系社会の多くを占める人々の願望を反映せず、その選択は彼らの積極的な参加を得て行われたものではない。現執行部が頑迷なまでに固執するプロジェクトへの協力者は少ない」と断定する。
その理由として、記念行事の選考過程にも問題があったとする。「提出された計画案を審査するための委員会が設けられたものの、執行部を牛耳る〃グループ〃の指針に従うよう、圧力にさらされた。記念行事は公募されたものの、同協会が内部的に選考基準を設けて審査し、優先順位を定めたものであって、広く日系社会の世論に問いかけたものでなく、単なる事後承認といっても過言ではない」と記す。
横田氏が理事長を務めるサンタクルース病院の拡張計画を始め、アサラトゥーバ市・ノロエステ地方総合文化センター、アルモニア学園高校部校舎増築計画の三計画が記念事業として承認されたが、「ほとんどと言って良いほど無視されている」と憤る。
さらに、「建設予定地の現所有者たちはすでに、複数の金融機関に対し、同地の開発について打診を行っているが、同地において不動産プロジェクトを実現させることは、非常に困難であることから、支援するのは難しいという回答が出されている」という内部事情を公表した。
現在、百周年協会が直面している問題の原因は、「現執行部の頑迷さによる面が大であり、その結果、選定された他プロジェクトに悪影響を及ぼしかけている」との見解を述べた。
「これまでの決定は再検討され、日系社会の願望がより確かに達成されることと、限定された資金調達能力に見合った目標にすることが肝要である。そして、時間が残されているうちに、それを行わなくてはならない」と警告を発した。
次期文協役員選挙にも触れ、「百周年記念事業の準備については、現執行部の指針の根本的な見直しが必要となっている。そのために私たち有志は、ブラジル日本文化協会の次期会長選挙を期して、現執行部の指針に反対するグループを組織することにし、より率直な議論や提言、細かな〃根回し〃により、自らの考えに反対する、独自の発想を有する者を排除することなく、数多くの協力者による体制作りを目指す」との考えを明らかにした。