3月24日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】下院議長の最後通告を受けたルーラ大統領は二十二日、二閣僚を進歩党(PP)以外から指名、内閣改造は終了と宣言した。新閣僚はロメロ・ジュッカ上議(ブラジル民主運動党=PMDB)を社会保障相、パウロ・ベルナルド下議(労働者党=PT)を予算管理相と決定、同日午後、就任式が行われた。大統領は新閣僚の発表で「下院議長は自分の分際をわきまえるよう」勧告した。大統領が最終判断を下し、いかなる党の人質になることもないと述べた。
内閣改造は、思わぬ展開となった。下院議長による野党転向の最後通告は、不発に終わったようだ。PP閣僚の重要ポスト就任は空振りとなった。内閣改造はPPの入閣なしで終了を宣言した。他、下院対策委員長にシナリア下議(PT)が指名された。
大統領は二十三日に二〇〇五年の初回閣議を開き、新閣僚を紹介する。内閣改造を中止した大統領は虚栄を張ったようだ。大統領の性格として、圧力を嫌い入閣強要に反発したとみられる。PPは連立留保を表明したが、顔に泥を塗られた下院議長がこれからどう出るか見物だ。
大統領は直ちに連立与党幹部を個別に呼び、意志の疎通確認を行うと思われる。連立与党間の意思疎通は以心伝心だけでは不十分であることが明白になったと、メルカダンテ上議が述懐した。内閣改造は、大統領自身も不満と推察される。
内閣改造の評価としては、ゼロとする見方が強い。政権の基盤強化には無益。議会の連立与党の結束には無策。その他、有力議員の処遇問題が山積している。ドトゥラ自治相やコスタ保健相の交代、靴の中に小石が入ったようなロゼアナ上議の入閣などは、後回しにされた。
下院議長は、尻尾を股の間に入れた訳ではない。全ては、振り出しに戻って仕切り直しだという。同議長は、PPが連立維持を決めたのは大統領がPPの入閣を内諾したと理解したからだと述べた。与党への留保はよいものだと同議長は感想を述べた。
大統領は二十二日早朝、PMDB幹部を招き、内閣改造は病原菌に侵されたと伝えた。PTはPMDBとの連立を柱に、〇六年の大統領選も含め関係強化を図りたいと述べた。
内閣改造に時間をくれというのだ。内閣改造は、話が出てから半年になる。半年もかかるのは政府の死活に関わる余程の問題ごとなのかと、連立与党各党は皮肉っている。大統領の優柔不断が、下院議長選でPT後退の体たらくを見せたのだ。
「下院議長は分際をわきまえろ」と大統領が啖呵を切ったことで、ジョルナル・ダ・タルデ紙は「最終判断を下すのは国民である。大統領は分際をわきまえろ」と報道した。今日播いた種は、〇六年大統領選で刈り取る。今回の内閣改造は、二十日ねずみの出産のようだという。騒いだ割りにはあっけない。
五百億レアルの大赤字を出した社会保障相に北部出身のジュッカ上議をあてがうのは、針の穴に糸を通せと盲人に命じるようなもの。大統領がやることは、マルタ前サンパウロ市長のマンガを見ているようだと批判した。