3月29日(火)
【既報関連】カカーに続く代表選手をこの大会から――。将来の日伯サッカー界を支える人材を育成する第十回JALカップ日伯サッカー大会の開会式が、二十八日午後一時半からサンパウロ市郊外のニッポンカントリークラブで行われた。主催はサンパウロ学生会、Jインテル、日伯ジュニアスポーツ交流協会の三団体。
この大会に参加するのは、十五歳までの日伯五チームずつ。奈良県選抜、滋賀県選抜二チーム、千葉サッカークラブ、札幌サッカークラブほか、ブラジル側からはパウメイラス、コリンチャンス、サンパウロ、ポルトゲーザ、サントスの名だたるクラブが参加する。
日本からは指導者あわせて約百三十人が先週から来伯。四月一日までの五日間、最初は全チームが総当りして勝ち点や得失点差を競い、上位六チームが決勝リーグに進出。上位チームにはトロフィーやメダルなどが贈られる。この年代の大会は国内でも稀で、ブラジル側も気合が入る。サンパウロ時代のカカーをはじめ、今はときめくサントスのロビーニョらも大会出場経験者。
両国歌斉唱で始まった開会式で、主催者の一つサンパウロ学生会からマツノ・カルロス副会長は「ここから何人もの代表選手が旅立っていった。才能と技を出し切ってほしい」と励ました。
続いて、この大会の提案者で札幌大学名誉教授の柴田勗(つとむ)さんは、「二十七日のW杯南米予選で、この大会にも出場した先輩のカカー(イタリア・ミラン)が得点を決め、ブラジル代表チームの勝利に貢献した。日本チームは世界最高峰の早さ、激しさ、技を直接体験し、アジア1になる全日本を目指してほしい」と語った。
日本チームは午前中、プロのコ―チによるサッカークリニック、午後は大会参加、夜はフットサルとサッカー漬けの毎日を通して、本場の雰囲気を肌で感じるようになるという。
来伯十三回目、千葉サッカークラブの古川亮介コーチは、「これに参加することで大きく成長する子どももいる。ブラジルのサッカーは、一つのプレーが妨害されてもすぐに次のプレーに切り替える余裕というか、遊びがある。また、ブラジルでは選手の淘汰が激しく、子どもたちは本当に強い意気込みを持ってプロに挑戦している。そのようなものを感じてくれれば」との期待を語った。
滋賀選抜チームには日系ブラジル人子弟の鈴木カスタニェイラ・ブルーノさん(14、三世)も参加。パラー州カスタニャール市出身で、五歳で両親らと訪日。「小学校に入った時、お父さんに『ブラジルはサッカーだから、サッカーしなあかん』と言われ始めました」。非日系の父は精密機械工場で、日系二世の母はゴルフのキャディーとして働く。
今では十四歳以下の関西代表にも選ばれている。ポジションはFWで、目標はロナウド選手。「サッカーを通してたくさん友達ができた。できれば日本に残ってサッカーを続けたい」と目を輝かせた。
今大会は、百三十人もの青少年が毎年来伯する両国間最大の交流イベントだ。五年後、十年後の日伯サッカー界を背負う人材が、今ここでプレーしているのかもしれない。