3月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】国際通貨基金(IMF)の融資協定が三十一日を以って期限を迎えることで、政府は二十八日、協定を更新しない方針を固めた。パロッシ財務相は、財政状況の好転と外的要因への体力が付いたことを理由に、IMF依存を断ち切ることに踏み切ったと述べた。また緊縮財政と均衡収支は決して手を緩めないと決意の程を示した。財政黒字は、現行の国内総生産(GDP)比四・二五%から四・五%へ引き上げる可能性もあるとした。
ブラジル経済は過去に三回も破綻したが、IMFに助けられ辛うじて延命したとルーラ大統領は述懐した。今日はブラジルがIMFの松葉杖を取り、自分の足で一人歩きをすることになった記念すべき日だと大統領は称えた。七年間にわたったIMFの呪縛からブラジルはようやく解放されることになる。
パロッシ財務相は二十八日夜、ラジオとテレビを通じて全国民にブラジルの独り立ちを告げた。一九九八年にIMFの資金援助を求めて以来、ブラジルは八百四十億ドルを借り入れた。これまでに五百八十億ドルを決済し、残すところ二百六十億ドルを二〇〇七年までに返済することになっている。
各経済指標は、二十年来の好成績。経済成長率は過去十年間で最高。工業生産は過去十八年間で最高。これはブラジルの経済基盤が健全であることを意味すると、財務相は述べた。原油の高騰が国際経済の懸念材料となっているが、原油高は長期にわたるものではないと財務相は予想している。
大統領は、ブラジルが借金依存体質の時代に終止符を打った、祝うべき日だと感慨を新たにした。大統領夫妻は糟糠時代も現在も、家計には厳しかったという。ブラジル経済にも同じタガをはめたことは、将来のために重要だと語った。
独り立ちしたとはいえ、もしものためにIMFのドアは少し開けてある。大統領府ではメイレーレス中銀総裁、ジルセウ官房長官、グシケン広報長官、労組代表、企業家代表が膝を交えて交渉、協定更新と中止の間を何度も往復した。借金体質からの脱却は、高金利政策終焉の必須条件だからだ。
IMF協定の更新打ち切りで、これから何が起きるか。現在の外貨準備高三百四十八億ドルは、決して十分とはいえない。国際経済情勢が緊迫する中、いかに外貨準備高を増やすか。IMF援助という帰還船を焼き捨てたのだ。ブラジルにとってはもはや、戦勝しか生き残る道はない。
これまでの経済成長は、IMFというお母さんに見守られた幼稚園児のようなものだった。お母さんが手を放した今、誰も助けてはくれない。自分で窮地を脱しなければならない。しかし、IMFからの解放による有利な点もある。
財政黒字の算出方法、特にインフラ整備費の会計処理法をめぐってはIMFと再々争ったが、これからはそれがない。会計処理で指図されない。IMFが要求するインフレ率達成義務はなくなる。通貨政策委員会も、インフレ抑制より外資導入を優先できる。不自由で窮屈だった服を脱ぎ、自由に飛び回ることができるのだ。