3月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】連邦警察情報部は二十八日、連警サンパウロ支部内で不正行為が組織ぐるみで公然と行われていることを明らかにした。
六カ月間にわたる極秘調査の結果、二百二十人の刑事や書記官のうち四〇%に相当する八十八人が不正に関わっていることが判明した。これらは即刻免職処分になるほか、連邦検察は重罪として起訴する方針を固めた。不正は九七年までに遡り、事件のもみ消し、取調べ調書のねつ造、犯罪者からの収賄、盗品の横流しなど。
この報告を受けたバストス法相は緊急記者会見で、「こともあろうに警察のエリート集団が」とした上で、「ブラジルの恥さらしだ」と語気を強めた。さらに事件の徹底追及とともに、エスピリト・サント、リオデジャネイロ、マット・グロッソ・ド・スルの各州で同様の調査を命じた。
不正の中でも関係者を最も驚かせたのが盗品の横流しだ。積荷強盗は州間にまたがるため、麻薬、武器、密輸と並び、連警の任務となっている。積荷強盗を逮捕した折に積荷を押収するが、それをチャッカリ売りさばいていた。
例えばコンピューター百台を押収したにもかかわらず、盗品は二十台と偽りの報告書を提出し、残り八十台は横流ししていた。これは組織ぐるみで行われ、売りさばいた代金は分配されていた。その金額は月平均十三万レアル、年間で百五十万レアルに達していた。当局では盗品を買う組織が介入している可能性が強いとみて、捜査している。
いっぽうで九七年から昨年まで一万五百七十件の犯罪調書があるが、その七〇%がねつ造されたり規定の取調べが行われておらず、ウヤムヤに終わったことも判明した。中には一件の事件で八年間を要し、十二人の担当刑事が代わり最後はお蔵入りとなったものもある。
不正行為は二〇〇三年に就任し、昨年八月に辞任したバルタザルサンパウロ州長官時代にはびこった。同長官はルーラ大統領のボディガードをしていたことから長官に抜擢されたが、大統領との知己を鼻にかけてワンマンぶりを発揮し不評を買った。結局国内密輸王の異名をとった中国人ロウ・チャン容疑者との癒着で部下五人とともに辞任に追い込まれた。ロウ容疑者は昨年六月に逮捕されたが、サンパウロ州連警には極秘で、ブラジリア連警が出動し逮捕した経緯がある。