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米国とは異なるブラジル文化=改革嫌いはバロック文化の反骨精神

3月30日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】ラジオ・バンデイランテスが伯米比較を特集した。作家のジルベルト・クジャウスキー氏が、ブラジルはポルトガル人カトリック教徒が、米国はイギリス人清教徒が開拓したという通俗的見方に一言添えた。
 ブラジルは、ポルトガルから良いものをたくさん提供されたことを感謝しなければならない。ブラジルの改革嫌いと近代化への乗り遅れは、バロック文化の中に込められた先輩たちの反骨精神から来ている。反骨精神は、バイーアやミナスのバロック文化と歴史の中に根付いている。
 バロック文化に見るようにヒューマニズムと千客万来、寛容、非人種差別を重んじ、カーニバルなど国民の祭典を生み出したブラジル文化は、米国文化とは本質的に異なる。
 一方、ピューリタンの伝統を組む米国は十七世紀に近代化の風潮に覆われた。本国の英国は、米国に政経分離と独自経営を勧めた。米国民は市場開拓と資産創出に励んだ。ポルトガルは同じころ、政治、経済、科学全てが停滞、宗教裁判に没頭してブラジルに与えるものは皆無だった。
 英国では十八世紀に産業革命に始まる自由主義と民主主義が誕生した。スペインとポルトガルは十六世紀以来、覇権国家が崩壊、君主制専制主義で信教も思想も自由を奪われた。
 当時の英国とポルトガルが、現在の米国とブラジルに置き換えられる。短距離競争で例えるなら、スタート地点からライバルは一足先を走っていた。バトンタッチを受けた第二走者が、先を行く走者を追い抜くには少し時間がかかる。
 歴史学者は、米国の覇権政治をローマ帝国に例える。両者には三つの共通点がある。高度の文化水準。一つの目的に多種民族を参加させた政治力。国際感覚など。現在の米国も自国の政治、経済、芸術、思想、科学、技術を国際基準にしようとしている。
 イラクへ押し売りした民主主義、ブラジルへねじ込んだ自由貿易構想は、後遺症をもたらす米国の国際政治だ。ブラジルには、習慣や考え方が異なる多種民族が混在している。外側から押し付けた改革は結実しない。改革は中から外へ向けて行うものだ。
 しかし、ブラジルは殻に閉じこもらず国際社会から学ぶべきだ。伯米関係は補完関係にある。米国は国際テロと麻薬の浸入を防ぐため、ブラジルの協力を求めている。両国は子供のケンカみたいなことをしないで米国の求めに応じ、こちらの要求も飲んでもらうべきだ。国際取引では鰯が鯨を呑むこともある。