3月30日(水)
【エザーメ誌八三四号】企業家がこぞって増税阻止に賭けているのを見ていると悲しくなる。政府は減税したくても、どうしようもない。例えば、今後三十年間に年金は倍増する。政府の医療サービス費は三倍に膨れ上がる計算だ。さらにブラジル人の平均寿命が伸びた。
政府は国内総生産(GDP)の三八%を税収の限度といっているが、誰が見てもウソだと分かるとハーバード大学のステフェン・カニッツ教授はいう。同教授の計算では、今後二十年間に税金はGDPの四八%を超えるという。
年金と医療で悩んでいるのは、ブラジルだけではない。ただブラジルの場合、徴収方法が過酷なのだ。物品税の納税期限は、百二十日を十日間に短縮した。社会保障負担金(INSS)は、社員に給料を払う前に納入する。企業利益に対する法人税は、一体いくら儲かっているか分からないうちに納税しなければならない。滅茶苦茶だ。
インフレによる税金の目減り分は、政府側だけ考慮され、企業側の目減りは一顧だにされない。不幸なのはブラジルの税制考案者が、企業経営に未経験な学者ばかりであることだ。象牙の塔で暮らし、俗人の感覚がない。
自動車は鉱山から鉄鉱石を掘り出して工場を製品として出るまで六カ月かかる。さらに販売されるまで、六十日から九十日かかる。しかも月賦払いだ。しかし、税金は自動車の売上代金が入るより、はるか先に払えというのだ。
企業は、先払いの税金を払うために銀行から金を借りる。それとも運転資金を納税に使う。飯炊きのために飯炊きを雇うようなものだ。これは、連邦令一四五条第一項に抵触する政府の違法行為である。
ブラジルでは時代に逆行するようなことが、しばしば行われる。世界的傾向としては、一年または一年以上の時間的余裕を持たせ、商品流通税は最終段階で課税し、企業の資産状況を助けるのが通例である。
企業に運転資金の余裕がないと、些細な国際金融不安にも動揺し、顧客筋にも便宜が図れない。これはインフレを終焉させたと考えているレアル・プランの過ちだ。インフレ時に企業から巻き上げた運転資金を返還するのを政府は忘れている。納税期間は、インフレ前の状態に戻すべきだ。
商品を売って売上金が入ってから、税金を払うなら企業倒産や債務不履行も減る。経済成長も雇用も伸び、税収も増える。パロッシ財務相は納税期間の延長を、せめて貧しい州からでも始めるべきだ。