3月31日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】政府は二十九日、所得税を調整する暫定令(MP)二三二号を廃案とすることを、下院に通告した。この案はサービス業に関わる個人の所得税引き上げを骨子としたもので、世論の反対にもかかわらず政府は強硬採決を模索してきたが、法案成立は無理との最終判断のもと、廃案を決定した。
この決定は二十八日夜、プラナルト宮で開かれたパロッシ財務相をはじめとする閣僚と連立与党リーダーとの会議で、票読みを行った結果下された。議長就任以来この法案に頑なな態度で反対を唱え、国会での審議さえも拒否してルーラ大統領との確執を生んだセヴェリノ下院議長は、廃案の報告を受けて「世論を無視して政策を押しつけるのは気違いざただ」と決めつけ、「政治家の道から外れている」とした上で、「国民の勝利」との勝利宣言を行った。
いっぽうでこの法案には、給与所得者いわゆるサラリーマンの所得税率を現行の一五%から一〇%に引き下げることも盛り込まれていた。政府としてはサラリーマンへの恩典を懐柔策として盛り込んだ上で、いっぽうの所得税を引き上げるのが狙いだった。この廃案で当然ながら恩典も消滅することになる。
これに対し政府は、この恩典はすでにルーラ大統領が発表しており、また七百万人が対象となることから、サラリーマンの減税は別個に発令するとの意向を示している。二十八日夜の幹部会でもこの意向は確認された。全国労組も声明書を発表し、大統領へ約束の履行を求めた。
長期間にわたり紛糾した法案問題に決着がついたが、サラリーマンへの減税が実施されると、年間二十五億レアルの国庫収入の減少となるため、政府は穴埋め策を早急に検討するとの立場を示している。