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コラム 樹海

 カフェの生産地がまだ北パラナ地方から北のほうに移って行かなかったころ、三十年前頃になるだろうか、景気がいいといえば、カフェ値がよくて、ほかの業種も潤っていることを意味した。奥地から全伯少年野球大会(旧パウリスタ新聞社主催、サンパウロ市ボンレチーロ球場で開催)に代表として出場するチームの遠征費も、カフェで景気がよければ、過不足なく出してもらえる、とチーム関係者の表情も明るかった、と記憶がある▼度重なる霜害で北パラナのカフェ樹海は激減した。ロンドリーナも別称「カフェの都」と呼ぶ人がいなくなった▼ここ五年間、国際価格は特に低迷していたが、世界中のストックが過去二十年最低のレベルに落ち込み、世界最大の生産国ブラジルの作付けも減り、しばらく生産が需要以下なので、ようやく回復に転じたという。ニューヨーク市場で久々一俵(六〇キロ)百ドルを越えたというのである▼しかも、高値傾向は数年は続くだろうという見通しだ。北パラナで発行されている邦字紙は、この現象を取り上げ「再びコーヒー景気が来ると専門家は見ている」と大きく書いた。生産過剰は当分、生じないというのが根拠なのだろうか▼実際、北パラナの大規模農業といえば、今日と違い、それはカフェ栽培だった。わがコロニアの山本喜誉司賞は、カフェの栽培技術向上に貢献した人たちを何度か表彰した。それはすべて北パラナの農業者だった▼カフェ景気は「大豆景気」とは違う雰囲気がある。(神)

05/4/1