ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

商店が新タイプ金融取引へ=割引より月賦に力=利子は原価に組み込み済=昼寝し本業忘れた銀行

4月6日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】商店は現金で割引販売するよりも、月賦販売に力を入れるようになった。商店にすれば、長い目で見て現金で売っているのと変わらない。ブラジル財務担当者協会は、四回割賦無利子といっても原価に月六・一%,年利累積一〇三・五%の利子が組み込まれているという。これは、新しいタイプの金融業として注目されている。隠れみのにする商品は、生活必需品で換金度が高ければ何でもよい。

 債務不履行のリスクが一定期間の利益でカバーできるなら、ちゅうちょするよりは売ることだ。月賦販売の九〇%が、先付け小切手による販売だというのだ。これは、販売促進という仮面を被った金融取引の新しい考え方。見方を変えるなら、商店が銀行の隙間を縫って進出した新ビジネスといえる。
 商店の店員には無利子と吹き込んであるが、商店主は金利計算をしている。商店は商品で儲けるのではなく、金利で儲けているのだ。だから金利分を差し引いた現金売りは絶対できない。カラクリが分かってしまう。こんな美味しいお乳が出る乳房を、商店主は手放すわけがない。
 この甘い汁にありつけないのは、スーパーの生鮮食品部門。スーパーの現金価格は、本当の現金価格だからだ。スーパーは、生鮮食品部門ではこのマジックができないが、家電製品でそれをやった。倒産したG・アロンソンのジルス・アロンソン氏は、スーパーで家電製品を販売することに抗議していた。スーパーは家電製品販売店が金利で儲けていることを始めから知っていた。
 商品は社会をごまかす仮の姿であって、重要なのはそれで動く資金だ。これは一種の金融業だが、中央銀行の監査を受けないし、金融規制もない。
 銀行が遠からず、自分の軒先で同じような商売をする商店に抗議するだろう。しかし、これは銀行がうかつだったのだからケンカにならない。銀行は、リスク・ゼロの国債購入という甘い汁があったから、商店のカラクリなどに関心がなかったのだ。
 銀行財務部は国債を購入すれば、後は昼寝していればよかった。ブラジルの銀行は、すっかり怠け者になり自分の使命を忘れた。銀行にとって、興国殖産なんて死語になった。こんな美味しい話がいつまでも続くはずがない。
 政府は、公共債務をようやくコントロールできるようになった。すると借金返済のための借金はだんだん減り、国債の旨味も半減してくることに銀行は気付いたようだ。銀行は本業へ戻ろうかと考え始めたようだが、金貸し業の経験を忘れてしまった。
 銀行が昼寝をしている間に、アングラ金融が業界を牛耳ってしまった。庶民金融の六三%がアングラ金融の縄張りだという。怠け者の銀行がアングラ金融への突破口を求めたのが、カーザ・バイアとブラデスコ銀行の業務提携といえる。遅ればせながら、銀行が目覚めたのだ。
 しかし、ブラジルの金融業は変化した。国債購入で怠け癖がつき本業を忘れた銀行は、時代の変化に乗り遅れた。商店にカモフラージュしたアングラ金融は、ますます繁盛し、新しいタイプのビジネスとして定着している。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button