今朝―TVで見たのだが、ロ―マ法王の力というものをまざまざと思い知らされる。バチカンのサンピエトロ広場を埋め尽くした人々。広場に向かう道をも占める信者の人たち。法王庁では、恐らく500万人の信者らがバチカンに集まるだろうと予測している。荘重に営まれた葬儀にはブッシュ米大統領を始め英独仏伊など世界の首脳が参列したけれども、圧巻は何と言っても500万人の信者である▼恐らく、こんなに盛大な法王の葬儀は初めてのことではあるまいか。ヨハネ・パウロ二世の前任者であるパウロ一世のときは10万人規模だったとされるしこれほど信者らに親しまれた法王はかって無かったのではないか。「空飛ぶ聖座」「旅する法王」と呼ばれたように―本当によく空を飛び地球狭しと駆け巡り平和を訴えた法王である。信者たちと親しみ語り合おうとする法王の姿勢が、世界の人々を目覚めさせたのに違いない▼そうとでも考えなければ、葬儀に500万人も参集するなどありえない。7日に公表された遺書には「神の摂理のおかげで、核戦争という暴力なしに冷戦は終わった」としているが、法王は反共主義者であり、祖国ポ―ランドの民主化に尽くした「平和の使徒」であったことも忘れてはなるまい。あの米ソ対立という悪夢を崩壊させた精神的な指導者でもあったのだ▼人の尊厳と自由な心を最も大切なものとし、圧政による人権無視や害を嫌った。法王・ヨハネ・パうロ二世は、この世を去ったけれども―「自由の戦士」としての教えは宗教の壁をも乗り越えて永遠に消えことはあるまい。 (遯)
05/4/9