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UTIでの治療、規制へ=保健省=安楽死の倫理性検討=回復見込みの患者優先=2万5千人が病床空き待ち

4月12日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】保健省は九日、公立病院の集中医療室(UTI)に入る重症患者は、回復の見込みがある患者のみとする規制を設ける方針を明らかにした。従来の状況では一五%から二〇%の患者は回復の見込みがないため、UTIから退けられる見込み。保健省は、同措置により治療の質向上につなげるという。規制は国家保健審議会(CNS)や州、市の上申書を取り入れて、六月までに結論を出すとしている。
 愛する家族への死の宣告について是非が問われるのは、ブラジルの医学倫理史上初めてである。サンパウロ州医療審議会(CREMESP)は、回復の見込みがない患者の安楽死を、親族の立場に立ってその倫理性を、また、公共医療という側面からも検討する。
 UTIの病床には、多数の患者が列を成して待っている。植物人間を半永久的にUTIに置いておくか、回復見込みのある患者を多数迎え入れるべきかは、これまで医師の判断で行われてきた。保健省では、限度のあるUTIの病床を有効活用する考えだ。
 全国二十七州のうち、十七州の公立病院のUTIは、随時入院可能な状態にない。保健省が調査したところ、UTI病床が不足しているわけではない。回転率や管理の専門家不足など、活用法の問題であることが判明した。保健省は、植物人間の今後の取り扱いについても検討を行う。
 国際基準でみると、ブラジルは治療の必要な患者数に対するUTI病床数が最低水準に達していない。現在のUTI病床数は一万二百三十五床、最低必要とされる同病床数は一万七千九百床、UTI病床の空きを待っている重患者数は二万千五百人とされる。
 全病床数に対するUTI病床数の割合は、北部と東北部が最悪の状態で、ロンドニア州は一・〇五%、ロライマ州は一・六三%、バイア州は一・八四%となっている。
 政府は安楽死や死の準備に向けた心のケアを行う機関を創設し、無期限の植物状態に終止符を打つ計画を策定している。死期が近い患者らに処刑台に上る心境ではなく、馳せ場としての人生をまっとうした満足感を持てるよう指導を行う。患者に引導を渡した医師らは、現代医学では不治と分かっていても遺族から執念の恨みをかい、後味の悪さを一生引きずる。
 欧州では回復の見込みがない重症患者に対しては、対処基準が明確にある。対処基準に照合し見込みなしと結果が出れば、安楽死が合法化される。しかし、実際に適用されたことはない。ブラジルでも同じことは起こり得る。欧州方式がブラジルに適用できるかどうかは、疑問だと関係者はいう。
 サンパウロ大学心臓外科(インコール)は、保健省が率先して同問題に取り組んでくれることを歓迎している。医学的な難問の位置付けを政府が行ってくれれば、医療ミスや経費が減少するとインコールはみる。
 税金で経費をまかなうことや医学的判断にも限界があるので、生命の尊厳に関する伝統的考え方は変える必要があるとCNSはみている。しかし、UTIの入院や退院を最終的に判断するのは政府ではなく、患者の容体を熟知する担当医であるとCNSはいう。