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地球温暖化で伯農業激変=耕作面積半減の可能性=適合作物の変化に対策を

4月13日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】地球温暖化現象がブラジルの農業に深刻な影響を及ぼすと、カンピナス大学と農務省の共同研究班が発表した。大気中の気温がさらに五・八度上昇すると、コーヒーや米、フェイジョン、とうもろこし、大豆の耕作可能面積が半減するという。
 気候の変化を観測する国際機関(IPCC)の調査によれば、気温は五十年後にその水準に達し、百年後には、大気中の気温が現在より十一度も上昇するという。確実視されているのは十五年後に気温が一度上がること。
 同大の気象学科は、気温が一度上がる毎に耕作可能面積、播種期や土壌、農作業の時期が地域や郡単位でどう変化するかをコンピューターで調査、気温の上昇で起きる水蒸気の上昇状況や降水確率、作物への影響も調べている。
 ブラジルは現在、大豆の耕作可能面積が三百万平方キロある。米は四百八十万平方キロ、フェイジョアンは三百五十万平方キロ、とうもろこしは五百二十万平方キロもある。これらの予想変化を一度から五・八度まで段階的に追っている。
 気候の変化に伴う適合作物変化の研究は重要だ。コーヒーの場合、サンパウロ州の三九%が現在コーヒー耕作可能地域とされている。それが五・八度上がるとわずか一・一%へ減少する。コーヒー主産地のミナス・ジェライス州は現在の八・九%から五・八%へ減少。ゴイアス州は三八%からゼロへ。パラナ州は一〇・一%から五・四%へと減少する。
 耕作可能面積の減少だけでなく、ブラジルの農耕文化の変化も問題だ。南部から大豆が消え、中西部に集中する。コーヒーは、南東部から南部へ移動する。産業構造の変化や適合作物の変化、生態系の変化に従って、公的機関は泥縄でなく事前に対策を講じておかねばならない。これは国内問題ではなく、国際問題であり、ブラジルの役目とも使命ともいえる。
 そこで登場するのが、遺伝子組み替え(GM)技術だ。ブラジルは世界の植物博物館で、干ばつや温暖化などあらゆる気象条件に適合する作物をGMで、開発できる環境がある。これだけの条件が揃っている国は、ブラジル以外にない。
 地球規模の気候の変化は、生態系に影響する重大問題であり、産業構造の変化は地球規模の変化と言える。過去の戦争は、農耕文化や産業構造の変化が遠因ともいえそうだ。