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縁故採用禁止法案を可決=下院法務委=悪習廃止へ一歩前進=2親等までの親族が対象=官界は高官の妻の遊び場

4月15日(金)

 官僚や議員が情婦を信任職に起用していることは、ブラジリアでは公然の秘密。情婦は同案の対象となるかをめぐり議論が交わされている。情婦が働き者のロバならまだしも、二親等以外から代理人を呼び寄せれば、同法は有名無実法になるという。CCJの審議は官界のスキャンダルで混乱した。
 しかし、縁故採用が断ち切られれば、一歩前進とみられる。同法が連邦令として制定されるなら、縁故採用は背任罪という犯罪になる。罰則は当面、解任のみに止められるようだ。CCJの次は、下院議長が座長を務める特別委員会に同法案が回される。
 カヴァウカンチ議長は同法案が制定されたら、最初に断罪されるのは亭主を信任職に任命したロジーニャ・マテウス・リオデジャネイロ州知事だとジョークを飛ばした。農務省ペルナンブッコ州局長に任命された自分の子息については触れなかった。ベルゾイーニ労働相の妻は、ベルナルド予算管理相の信任職に採用されている。
 アントニオ・C・ギマランエス上議(ACM)は、縁故採用終焉に拍手を送った。縁故主義は、政治資金の捻出に利用されるシステムだった。特に政権が労働者党(PT)に移ってからは、資金調達のため行われる縁故採用のあくどさは、恥も外聞もない有様だと上議は皮肉った。
 コウチーニョ下議(ブラジル社会民主党=PSDB)は、PT女性党員を妻にめとりたいという知人がいると発表した。PT女性党員であれば信任職へ就職し、知人はヒモになれるという。政権交代後、官界は閣僚の妻であふれ、彼女らの遊び場となった。現在世の娘たちは、窓際に追いやられた前政権の官僚たちをハナにもかけないという話だ。
 しかし、縁故採用された公務員は給料日にのみ出勤し、給料そのものは政治資金となるため、縁故主義は腫れ物として扱われ、上院ではタブーとなっていた。公務員試験という関門で縁故採用は防げるが、政治資金源としての縁故主義を禁じることには難問が残るようだ。
 ボルソナロ下議(PT)は、暫定令など政府上程案に賛成票を投じる言質の代償として、リオ空港管理局長の席を貰った。同空港レストランは月間三十万レアルを売上げ、二十万レアルが同下議の懐に入る。同下議は、議員室職員に採用していた母親を、一日中昼寝ができるリオ空港レストランの総主任に据えた。
 議員は余程の間抜けでない限り、誰でも縁故主義の甘い汁を吸っている。議員に当選すると雨後の竹の子のように親族が政府下請け企業を設立し、議員は共営者となり配当金がゴロゴロ転がり込む。縁故採用の禁止法案は、国民を騙す方便だとボルソナロ下議はいう。