4月16日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】サンパウロ証券取引所は十四日、株式市場の世界同時安を受けて平均株価が四・一五%暴落し、二月三日以来の最低水準となった。月間で六・一一%、年間で一一・九八%も下落した。十四日の世界同時安は、グローバル経済の減速化が引き起こしたとみられる。世界主要国の経済指標が弱気の上、国際通貨基金(IMF)発表の世界経済成長率が予想以下とする報告も追い打ちを掛けた。世界同時安の影響を最も受けるのは、欧米の鉄鋼や金属株と予想される。
十四日のサンパウロ証券取引所は、指数を二四・九八四ポイントに付け、ストレスがさらに広がった。暗黒の十四日は、ニューヨークのナスダックが一・四%下げ、ダウ・ジョーンズは一・二%下げた。
これまでの人気株だった鉄鋼株や金属株は、欧米の関連企業が大量の在庫を抱えていることに基づいた悲観的予測が的中したようだ。ミネラルコモディティ(鉱物原料)価格は、減速経済と大量の売りにより、証券と商品ともに多くの国々で下落が予想される。
投資家はリスク回避のために配当金取得をあきらめ、株購入契約の解約が内外で進むとみられる。同証券取引所では三月から四月十一日までに、外国の投資家らが二十億レアルを引き揚げた。これには米連邦準備制度理事会(FRB)の米公定歩合引き上げも手伝ったが、投資家が米国債に切り替えているのだ。
国内事情も株式市場に水を差した。消費市場が最近、急速に冷え込んでいる。二月の売上高は昨年比一・三二%増で、期待されていた四・一%から九・一%には程遠かった。三月の雇用は、〇・四五%と二月よりも後退。企業家らは、産業界の景気減速とみている。
これら悲観材料が株を売らせた。集中売りで同証券取引所をひっくり返した主役が、鉄鋼株と金属株。鉄鋼株暴落の元凶は、トゥバロン製鉄の八・五九%安とアセジッタの八・二四%安。ヴァレ・ド・リオドーセは記名普通株が四・七八%安、記名優先株が五・二四%安だった。
米国発のグローバル経済の減速が懸念事項だ。ブラジルの金融市場から引き揚げた外国からの投資は四月十一日時点で、総額五億五百万レアル。二月は三十七億レアル入り、気をよくした。三月は入るより出る方が多く、十五億レアルの出超となった。
潮が引くように十四日、外国投資家が鉄鋼株と金属株を売り、資金は米国債へ流れた。ブラジル企業の経営基盤は堅く、外国投資を呼び込むだけの魅力があるはずだった。しかし、三月の中頃に米経済に陰りが見え始め、GMの減収発表を皮切りに流れが一変した。
公定歩合引き上げが呼び水となって、米国内の資金が米国債へ流れを変えた。ブラジルは、その一端であおりを食った。米国民にとって米国債は、運命共同体的存在だ。米国のファンドも、ブラジルなどの途上国からいっせいに資金を引き揚げると予想される。
鉄鋼金属株の売りに続き、二〇〇五年下半期には同業界に暗雲が立ち込め出すと言われる。EUのアセロール製鉄が百万トンの減産発表を行ったのは、中国の鉄鋼需要減少を物語っている。鉄鋼価格の〇五年価格調整は夢に終わった。今回の株価暴落は世界経済減速の前兆といえそうだ。