4月19日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】政府与党労働者党(PT)は十七日、ジェノイーノ党首の十二月任期を控え、思わぬ伏兵「PT運動」の出現に苦戦を強いられることになった。これまで舞台裏で声を潜めていたマリア・ド・ロザーリオ下議を中心とする一派がPT穏健派と称して、ジルセウ官房長官の説得を無視して党首候補として旗揚げを行った。同派発起人の一人、チウデン・サンチアゴ駐キューバ伯大使が、激励して門出を祝った。
大統領府はジェノイーノ現党首を次期PT党首として続投することを内定していたが、PT執行部の意向を無視した一派「PT運動」の出現に戸惑いを隠せないでいる。同派は常にPT多数派であることを自負し、リオ・グランデ・ド・スル州出身のロザーリオ下議の党首立候補者として旗揚げした。
動きを察したメルカダンテ上議と官房長官は十六日、同派の党首候補取り下げについて会合を開いた。ブラジリアで行われた同派の旗揚げ大会は衝動的な面があり、大会決議を三十分保留するよう両氏は説得した。工作はジェノイーノ党首の連記名簿へ合流であったが、現執行部の密室政治を不満とする声で説得は失敗した。
同派リーダーらの激励演説が過激だとして、シナリア下議が忠告に入ったが、容認した党員は二十名に過ぎなかった。決議は圧倒的多数で、「PT運動」の趣旨を表決し正式に会が発足した。発起人らは参加者九〇%による支持を宣言したが、まだ同派は膨張するものとみられている。
応援に駆けつけたサンチアゴ駐キューバ大使は、ロザーリオ下議推薦の根回しを行った。同大使はPTに倫理性を求めた。ルーラ大統領が二期続投を目指すなら軽薄な党倫理を改め、軌道修正の必要があると主張した。同大使はPT政権に雇われた身であるとして、シナリア下議が過激なアジ演説を戒めた。
PT執行部を社会主義と呼ぶには、恥じるものがあると同大使は糾弾した。民主的な社会主義政治を執るため、選手交替の時がきたと訴えた。次期政権でも現状が維持されるなら、自分は大使を辞任し、PTから去ると宣言した。サンパウロ州勢とミナス州勢の独断政治ではなく、開かれた政治をPT執行部に求めた。
ジェノイーノ党首の連記名簿で党首選出を図り、公開投票を避けようとした官房長官の思惑は、思いがけないライバルの出現で新局面を迎えた。当のジェノイーノ党首は話し合いの道が閉ざされたことで、討論会での決着に賭けている。
次期PT党首は、ルーラ再選に向けた根回しという重責がある。討論会では、再選戦略が焦点となりそうだ。「PT運動」に加わった議員の中にも、党を割るような行動に疑問を抱く者がいる。
しかし、PT左派も党首選に向け独自候補を検討しているようだ。PTは次期大統領選に向け団結のときであるとし、一本化によるPT再構築が叫ばれている。「PT運動」が多数派とはいえ、烏合の衆と執行部はみている。密室化した執行部に対する地方支部の不満も、一筋縄ではいかないようだ。