4月19日(火)
投票を前に、「ほら、このイデンチダーデを見てよ」
一九七二年発行の身分証明書に貼られた写真を周囲に掲げて見せ、若さをアピール。取り囲んだカメラマンのフラッシュがさかんにたかれた。
端正な紺色の背広姿。大阪市立大学から名誉博士号の記念に贈られたという、エンジ色のネクタイが映える。襟にはサンパウロ大学工学部教授に与えられるピンが光っていた。
支持者らは下本陣営同様、おそろいの運動Tシャツを用意。「応援 上原」「上原幸啓派」と、書かれたステッカーを袖や胸元に貼るなど、「チームワーク」を強調する現体制の団結力を改めて見せつけた。
初選挙の感想については、「二、三回やっていくうちに慣れていくでしょう。ただ、暑い会場で我慢してもらったのはすまないという気持ち」。続けて、「だれが勝っても、負ける人はいない選挙だと思う。会員のレベルアップ、日系社会のレベルアップにつながるはず」と語った。
開票前、谷候補とすれ違い、「お互いにこういう選挙は早く終わりたいね。幸運を」と声を掛け、肩を叩き合う一幕も。投票用紙の紙ズレの音が響くほど、静まり返った大講堂で、支持者の渡部和夫氏らと談笑しながら、結果を待った。
谷候補優位の風評を覆し、決戦投票に望みをつなぎ、「夢にも思っていなかった」。失望の色を隠せない谷候補とは対照的な笑顔で、報道陣のインタビューに答えていた。