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米政府、農産物ゼロ関税を提案=対象商品に浮かび上がるご都合主義

4月20日(水)

 【ヴァロール紙三月二十日】米政府は十七日、ブラジルの輸出特産物である牛肉や鶏肉、豚肉などの農産物をゼロ関税とする提案を世界貿易機関(WTO)にしてきた。ゼロ関税とした農産物については、米国政府の補助金も削減するという。
 米案は、WTO農業部会での補助金廃止交渉が座礁に乗り上げていたところへ提出された。米政府の意向はドーハ・ラウンドで、これ以上交渉の意志がないことも表明した。
 農産物のゼロ関税と平行して、工業製品も同様扱いとし、市場開放を勧めることを米政府は要求した。ブラジルを中心とする途上国は、即答をしなかった。連絡を受けた外務省本省は、生産者団体へ呼びかけ、米国の提案内容の検討に入った。
 工業製品では、まだ保護貿易を望む業界が多い。米案には、ほとんどが乗り気でない。農業生産者は、裸の戦いに闘志を燃やしている。協定品目に対しては双方がゼロ関税とするが、需要の多い製品を完全自由化したいらしい。
 米国の大豆生産者は、ブラジル政府が密かに補助金を生産者に支給していると思っている。それで米国の生産者が、ブラジルの生産者にゼロ関税で挑戦を試みたいらしい。
 WTO農業部会の仲介役は米国の肩を持ち、これがWTOにおける交渉進展ではないかと迫った。オーストラリアを除いた途上国は、製品の利益率にバラつきがあり米案に乗り気ではないようだ。
 最も困難なのは国際価格が歪曲された商品の調整価格だ。例えば砂糖のようにEUでは、国際相場の三分の一の価格で輸出しているので、わずかな調整だけで低率関税になる。
 ブラジルは国際相場に準じることを提案したが、WTOは国際相場と輸出国価格の中間をとるよう進言した。それには輸出業者が、いっせいに反対した。現在の国際相場が、すでに歪曲されたものである。先進国の資金力にものをいわせる歪んだ貿易から、是正しなければならない。
 ブラジルの関係者は、提案が単なる米国の駆け引きとみている。対象商品が米国の都合によいものに絞られ、ブラジルが得意な大豆や砂糖などは除かれている。全部を机の上に載せることがフェアな取引だという。
 また肉の輸出が、始まれば必ず衛生問題が浮上する。衛生に関する要求は、両国が同条件の同水準でなければならない。同様の問題は、パパイアで十六年間議論し未だ解決していない。米国の商習慣というが、必要に応じて営業妨害を行なうのが米式商法だ。