4月23日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十二日】エクアドル議会で罷免され、ブラジル大使館へ政治亡命を求めていたグテイエレス前大統領は二十一日、エクアドル新政府により公式に亡命を許可された。前大統領は空路国外脱出を試み、市民に阻止されていた。ブラジル政府はパラグアイのストロエスネル・元大統領、ラウル・C・グラウ前大統領と、三人目の外国首脳の亡命を迎えることになった。ライス米国務長官は、エクアドル新政府を承認する意向はなく、国民選挙の執行を求めた。
グテイエレス前大統領は二十日午後、在エクアドル伯大使館へ政治亡命を求めて来た。ルーラ大統領とアモリン外相は、南米地域の政治亡命者を受け入れるカラカス条約に基づき、容認の意向を固めていた。
エクアドル新政府は二十一日、前大統領の出国を認める、通行権供与の意向を表明した。エクアドルの政治危機は、前大統領による最高裁判事二十七人の更迭で火ぶたが切られた。経済政策も所々にほころびが目立ち、国民の反政府デモは暴徒化、死者二人を出すに至った。
前大統領はその間、伯大使公邸に避難していた。ブラジル政府は政治的支援を除外し、前大統領と妻、息女二人の亡命受け入れを認めた。空軍機が出迎えのため、アクレ州のリオ・ブランコ空港で待機しており、着伯後は軍施設内で亡命生活を送る。前大統領は大佐として九〇年代、リオ陸軍大学で学んだ。退役軍人の知己がリオ州やマット・グロッソ州に多く、広い人脈を国内に持つ。
駐エクアドル伯大使館の連絡では、前大統領は議会の解任決議が可決された当時、キト国際空港にいた。すぐに軍の空港へ引き返したが、先手を打たれていた。直後、ブラジル大使館へ助けを求めた。南米特有の、クーデターまがいの大統領追放劇は、議会政治の前時代的手法とされている。
エクアドルの政治危機は、まだ続くと専門家はみている。新政権はボリビア新政権やペルー新政権と同じように民主憲法で制定された政権ではなく、一時引き継ぎの臨時政権に過ぎない。憲法に裏打ちされた政治基盤のない政権のため、継続が困難だという。
アモリン外相は二十一日、南米十一カ国の政府へ電話で、前大統領の亡命受け入れとエクアドル民主化についての理解を求めた。新政権を臨時政権とし、民主憲法の制定、または四カ月から六カ月以内の国民選挙実施の二案を外相は提案した。
米州機構(OAS)は、同前大統領の解任について説明を求める意向だ。前大統領の最高裁判事更迭も違法だが、大統領解任の議会手続きも違法だという。大統領も議会も、詭弁で一国の政治を仕切っているというのが周辺国の意見だ。
ライス米国務長官は、国民選挙による民主政権の樹立を要求した。パラシオ副大統領の大統領昇格で急場をしのぎ、騒ぎが沈静化しても、総選挙実施が米政府の要求のようだ。
米政府のマクレラン報道官は、エクアドル新政府を承認しない意向を表明し、両派の対話を求めた。南米地域の麻薬ルート監視のためにエクアドルの米軍基地は活動を続行するので、議会と司法を含めた行政府の協調体制を求めた。