4月26日(火)
「俳句の日」に制定されている二十一日、リベイロン・ピーレス市(クロヴィス・ヴォウピ市長)と同市日伯文化協会(村木義明会長)共催の「第十三回虚子忌俳句大会」(バネスパ銀行、ニッケイ新聞社後援)が同市文協会館で行われた。
この日はパラグアイ、サンタカタリーナ州などの遠方からも集まり、総勢九十六名と去年より参加者の数が上回る大会となった。
同市の日本庭園には虚子の句碑(リ・ピーレス市役所管轄内)があり、ヴォウピ市長はアントニオ・メチジェーロ副市長、エウザ・カルロス市会議員と共に献花した。
また、この日のために句碑の近くに新しく噴水と竹の橋を増設。その落成式を記念して市長は桜の木の苗を二本植えた。
開会式では市長、村木文協会長、中野秀敏大会実行委員長、中野光雄ニッケイ新聞常任顧問らが挨拶をした。司会は前年同様、西谷南風氏。代表選者は栢野桂山、富重かずま、樋口玄海児、広田ユキ、星野瞳の五氏。
参加者は「虚子忌」「夜なべ」「秋風」「花野」「運動会」の兼題句を投句。それぞれ一人五句をお昼休憩まで吟味した。
毎年大会に出される文協婦人会の手作りの弁当やケーキ、饅頭などは「楽しみのひとつ」だと参加者らは喜んだ。
昼食後も投句された句を吟味。その後、それぞれが選んだ句を発表した。表彰式では成績優秀者に賞品が寄贈された。中でも特選句に選ばれた加藤淑子さんと山本紀未さんに中野ニッケイ新聞常任顧問が自ら描いた鯉の絵が贈られた。星野瞳さんからは参加者全員に柚子味噌が配られた。
「夏山の水際立ちし姿かな」と書かれた虚子直筆の掛け軸を同市に寄付したという坂本美代子さんは「今大会も素晴らしかった」と話した。
パラグアイから参加した藤井憲子さんは「俳句をするのは今回が初めてだけど今日をきっかけに続けようと思う」。また、俳句の魅力を「季語を考えるから季節を大切にできる。嫌いな雨も大切に感じるようになった」と二世の西川あけみさん。
最高齢の参加者である武井まことさん(96)は「生涯の思い出になる。来年も必ず参加する」と参加者はそれぞれ大会に対する感想を語り、満足げに帰りのバスに乗り込んだ。
以下は、代表選者の特選句。
栢野桂山選
夭折の夫と花野を駈ける夢
藤井憲子
富重かずま選
麻州路の花野の広き鈍行車
山本紀未
樋口玄海児選
五七五の平和な集い椿寿の忌
林とみよ
広田ユキ選
夫婦して夜学子帰るまで夜なべ
三原芥
星野瞳選
髪少し重くなりたる秋風裡
加藤淑子