4月27日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】訪伯中の国際通貨基金(IMF)財政担当のテレーザ・テルミナシアン理事は二十五日、ブラジル政府に対し過重債務と脆弱な財政内容に警告する声明を発表した。健全財政に向けたIMFの助言として、基礎収支の黒字増額や教育、医療への固定予算減額などを挙げた。さらに緊縮財政策を続行するなら、ブラジルは五年から十年以内に世界経済の一角を成す主要国家になると励ました。
ブラジリアで開催された「官民合資計画の改善」に関するゼミで同理事は、最近の財政立て直し努力にも関わらず、ブラジル経済がまだ不安定な状態にあることを指摘した。ブラジル経済に対する明るい見通しで安堵感が漂う中、手綱を絞める警告だ。
ブラジルはIMFのひざ元を離れて一人歩きを始めたが、足元に注意を払うよう同理事は忠告した。二〇〇五年末までに債務の金利支払いのための財源確保と、税収増、政府経費削減で努力を求めた。そのため、スプレッド取引(利幅)で支払うカントリーリスクの低減に努めるよう助言をした。
基本金利(SELIC)は、FRB(米連邦準備制度理事会)の公定歩合に基づき微調整するのが理想だという。また予算編成では、一定率で自動的に固定する教育予算や医療予算、年々増額している治安対策費などの見直しを薦めた。
双子の赤字で揺れる米経済よりはマシなものの、脆弱な財政基盤は不変だ。政府は大量の短期国債を抱えているうえ、SELICの引き上げを行った。有価証券債務の平均決済期限は〇三年一月に平均三二・四三カ月だった。それが〇五年三月には二七・七六カ月へ短縮された。期限が短くなるほど、国際金融の信用度が落ちる。
ドル安で、為替修正つき国債は三六・三七%から四・九四%に激減した。一方SELIC払い国債は、四七・二三%から五六・九八%へ増えた。為替修正つき国債をSELIC払いに交換したようだ。これは政府が〇六年までに、国内総生産(GDP)に対する公共債務の割合を五一%以内に抑える考えと思われる。
GDPに対する債務率は、〇四年には減少傾向にあった。それが横ばいまたは微増となる予測だ。〇三年末に債務率は五七・二%だった。それが〇四年は五一・八%に低下した。〇五年は五二・三%となる予測。この指数は今後、カントリーリスクの物差しになるとみられる。
〇五年の財政黒字は四・二五%、〇四年の四・六%から下げた。基本金利引き上げとインフレ抑制で、GDPに対する債務率の縮小はないと関係者はみる。SELIC上昇で債務は膨張。インフレ抑制で経済成長は望めない。ブラジル経済最大の難点は、慢性的な放漫財政。税収が増えると、自動的に予算を上乗せするからだ。
〇五年のブラジル経済は通貨の引き締めと財政緩和、つまり基本金利を一九・五%に引き上げ、政府は公務員などのお手盛りで一五・七%増の予算増額を見込んでいる。政府経費は総額で一八%増え、財政状態を悪化させた。財政健全化の分母、GDPは増えない。
今回のIMF団長でもある、コリンズ・ラテン・アメリカ局長は、ブラジルが三%から四%の経済成長率を保てれば、十年以内に先進国に仲間入りすると慰めた。