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ライス国務長官が訪伯=目的はブラジルの懐柔?=FTAA、常任理入りで注目

4月27日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】南米を初めて訪問するアメリカのライス国務長官が二十六日にブラジリアに到着する。同日午後六時からのルーラ大統領との会談のほか、アモリン外相とも会談を行う予定。同長官の来伯は、表向きには、今年十一月に予定されているブッシュ米大統領の訪伯の事前協議となっているが、伯米間の問題点について個別に協議するのが狙いとされている。
 また、最近アメリカ離れの傾向にある中南米諸国のなかで、リーダー格のブラジルを懐柔するのが大きな目的とみられている。とくに反米感情をむき出しにしているベネズエラと、ルーラ政権がとみに接近しているキューバについてアメリカの立場を説明、支持を得る意向と推測されている。
 同国務長官の来伯は当初予定になかったものだが、今年一月にアモリン外相が電話で閣僚会談を呼びかけた後、二カ月前にジルセウ官房長官が訪米した際に正式に招へいして、急きょ実現した。これまでアメリカは中南米を「アメリカの庭」としていたが、その認識が変わったことを如実に表した証拠と関係者は見ている。
 ルーラ大統領はブッシュ大統領と二〇〇三年六月に会談しているが、その後一年半の間に両国の外交は変化している。ブラジルに有利に展開したのは、両国の首脳が友好的になったこと、通商や関係の拡大、核エネルギーの基本合意、国境警備が挙げられる。
 逆に裏目に出たのは、米州自由貿易圏(FTAA)交渉、国連安保理の賛同、キューバ外交、ハイチ問題などが挙げられる。今回のライス長官との会談では、これらの点が突っ込んで協議されると予想されている。
 とくにFTAAについては、アメリカが主導権を握ろうとしていることにブラジルは真っ向から反対しており、展開が注目される。また国連安保理にブラジルが立候補しているにもかかわらず、同長官は先頃訪問した日本で同国を後押しすると約束したことで、ルーラ大統領は不快感をあらわにしている。
 さらに身近な問題として、ブラジル人の不法入国が多発していることから、ルーラ大統領がビザの発給を要請したにもかかわらず、ブッシュ大統領からなしのつぶてとなっていることも、同長官との会談の議題にあがるとみられている。