4月27日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】米中央情報局(CIA)の下部機関であるカンシル研究所が、「二〇二〇年のブラジルと中印」というレポートを発表した。中国とインドは政治面と経済面で世界主要国家の一員として君臨するという。
それは、十九世紀のドイツや二十世紀の米国のような覇権的存在になるという。ところがブラジルは、押しも押されもしない経済大国にはなれるが、政治大国にはなれないというのだ。
現在、中国抜きに世界の政治経済問題は語れない。金融や通商、貿易、工業、コモディテイ、エネルギー、米国債を論じるとき必ず中国が顔を出す。中国の反日運動は、予定された行動ではないかという。
インドの台頭は中国ほど華やかではない。ITでは見るものがあるが、ITだけではインドの問題は解決できない。インドの工業が中国と同水準に並ぶには長い茨の道が待っている。
インドの経済成長率は五・六%で、ブラジルとほぼ同率。これまでのインドはブラジルの後塵を拝してきたが、抜本的構造改革と政治改革を行い、時代の流れに乗る体制はできた。所得の再分配や消費市場の育成、税制の簡素化と社会組織の近代化も確立した。すぐそばに中国という手本があるので、改革は早い。
ブラジルとインドは、発展の過程で共通点や類似点が多く、二〇二〇年に向けて共に歩むと予測される。ブラジルが挑戦している数々の構造改革は、インドの場合も大差はない。両国は同じ道程をたどる。
インドで既に行なわれた痛みを伴う構造改革を、ブラジルは嫌応なく決行しなければならない。それができなければ、ブラジルの未来には余り期待できない。永久に空理空論を追い続ける国となる。
ブラジルは中長期計画として工業の国際競争力を培い、現在よりも高率の経済成長率を設定する必要がある。そのためには投資を呼び込み雇用を創出できる、計画性と具体性のある工業政策を策定することだ。
工業政策にはイノベーション法の制定、知的所有権の適用、厳格な均衡財政、低金利政策、現実に即した柔軟な為替政策、税制改革と減税、インフラ政策の障害撤去、官民行動計画の拡大、先進国入りを目指す意気込みなどを折り込む。
これだけのことができれば二〇二〇年、ブラジルは中国やインドに並ぶ大国として世界から見直される。それができないなら、経済力があっても世界から一人前として扱われない某国と同じ。永久に一流国家として相応しくない致命的欠陥が、民族性にあるのだ。