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世界ダントツの実質金利=12・9%、先進国平均の20倍強

4月29日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】ブラジルの実質金利は世界でも類を見ない高率で、ランキングのダントツとなっている。その率は四十カ国平均の十倍以上になっている。
 これは、コンサルタント会社のGRCビゾンが三月の時点で、世界の先進国と開発途上国、合わせて四十カ国を対象に調査したもの。実質金利は基本金利からインフレ率(消費者物価指数を基準)を差し引き、向こう十二カ月間の金利として設定する。
 それによると、ブラジルの基本金利一九・二五%(四月二十日に〇・二五%引き上げられ一九・五%となったが、この調査はそれ以前に行われた)に対し、実質金利は一二・九%となった。先進国の平均は年〇・六%のため、比較すると二十倍強となる。また四十カ国の平均が一・二%で、その十倍に相当する。開発途上国の平均は二・〇%と、それでも六倍強に当たり、ブラジルがいかに高率かを示した。
 国別ランキングでは、二位がトルコの七・三%、三位が南アの五・二%となっており、以下順にハンガリー(五・一%)、メキシコ(四・六%)、オーストラリア(三・七%)、イスラエル(三・一%)、イギリス(三・〇%)、ポーランド(二・八%)、中国(二・四%)となっている。
 国内の金融アナリストらは、ブラジルの基本金利はここで引き上げを止めて八月までは現状維持で、その後下げ続けて年末には一八%になると予測している。それが仮に実現しても実質金利は一一・二%となり依然として二位のトルコとの格差は大きく、ランキングの順位は不動となる。ブラジルの基本金利は昨年九月の一六%から、今年三月まで毎月連続七回に及ぶ〇・五%ずつの引き上げとなった。これは世界金融史上、例を見ない措置。
 ブラジルの場合、中銀がインフレに対し神経過敏になりすぎて基本金利を引き上げているが、他国では実態にそぐわない金利を設定し、インフレが金利と肩を並べる例もある。
 二〇〇二年にモラトリアム(債務不払い)を宣告したアルゼンチンは基本金利二・九%に対しインフレは九%となっていることから実質金利はマイナス五・八%と異常な事態となっている。またベネズエラはブラジルに次ぐ高率の基本金利一七・一%に対し実質金利は一・一%で全てインフレに喰われている様相を示している。
 同調査機関は、ブラジルの高金利が続くと経済成長にかげりが出ると警告している。産業界は設備投資資金や機器購入代金を投機に回し、利ざやを稼いだ方が得策だからだ。