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『国境地帯』に好作品=高橋干晴さんの「ペローバの――」

4月30日(土)

 菅沼東洋司さんがアルミニオ市で発行している文芸同人誌『国境地帯』(第十三号)が発行された。創作は『ペローバの樹の繁った頃』(高橋干晴、五十五枚)、『甚平』(能美尾透、二十枚)、『旅の果てに』(中条友久、二十枚)の三編。
 高橋さんの作品は、勝ち負け抗争の時代を生きた若者(二世)たちの愛と苦悩を、後年、パーキンソン氏病に侵された女性が教会のミサのさなかに回想する構成。登場人物たちのセリフが生硬でなく巧い。だから、どんどん読んでいける。
 菅沼さんは、「かつて数多くのコロニア作家によって〃直接法〃で捉えられてきた同問題を、時間的にも空間的にも隔たりを持たせて、香り高い文学作品に仕立てている。近年のコロニア文学界における大きな収穫であろう」と末尾録で評している。菅沼さんの編集室の電話0××11・4715・7804。