きのうの三日は「憲法記念日」であり、今の憲法が施行されてから五十八周年目だった。東京では改憲を主張する団体が集まり「あちこちほころんだ一張羅の背広をオーバーホールする」(船田元議員)と改正の意義を強調する。一方の護憲派は「9条の死守」を訴え気勢を上げたが、改憲論争は政界だけではなく、市民の中でも燃え盛っている▼これだけ議論が活発なのは、衆参両院の憲法調査会が論議の結果を議長に提出した動きが影響しているのは間違いない。憲法の改正に関し新聞やTVの意見も賛成と反対があり微妙なところだが、いくつかの世論調査の結果からすれば改憲派が60%を超えているし、この傾向は将来も続くのではないか。これに反して土井たか子衆議に代表される護憲派の声は低くなる一方なのはご存じの通りである▼護憲を掲げ一大勢力を誇った社会党を引く継ぐ社民党は今や国会議員が12人という低落ぶりで小政党になってしまった。共産党の図式もまったく同じであり、もはや改憲の流れを逆転させる力はない。新憲法が連合軍の方針と指示によったものである事実は誰しもが否定できない。憲法が施行されてから60年近くになって気がつくのは、現実との乖離が大きくなっていることである▼集団的自衛権がこの典型といっていい。環境権という新しい問題も生まれているし、憲法を見直してよりよいものを目指すのは極めて自然な流れといえる。改憲に際しては、政治家や学者だけではなく、広く国民の声を反映させるべきは当然であるし、その意味での憲法論議は大いに進めて貰いたい。(遯)
05/5/5