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連邦最高裁=中銀総裁を閣僚と判断=疑惑解明は最高裁で=総裁救済の苦肉策が奏効=否定された中銀の独立性

5月7日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】連邦最高裁(STF)は五日、中央銀行総裁の職位を閣僚扱いとする裁決を行った。最高裁大法廷は、賛成七票と反対四票で決めた。同件を定めた暫定令が、自由戦線党(PFL)とブラジル社会民主党(PSDB)に合法性を問われていた。同裁決により、メイレーレス総裁に対する脱税や不正送金、選挙違反の疑惑解明は、最高裁において審理される。また中銀の独立性は否定され、大統領が随意に閣僚を任命または更迭する権限についても不問となった。
 最高裁のメーロ判事は十日に中銀総裁の資産明細の開示について可否を決める。今後はフォンテレス検事総長に代わって同判事が、捜査許可の申請を行う。中銀総裁の閣僚扱い裁決は、メイレーレス総裁には勝利であっても、中銀にとって敗北という見方がある。
 ジョビン最高裁長官は、政府は同総裁を救うために、中銀の独立性を犠牲にしたと述べた。中銀の独立性が認められると、中銀総裁は任期満了まで留任し、中銀理事は議会の承認を得ないと更迭できないことになっていた。総裁の閣僚扱いを合法化することは、中銀の独立性否定を意味する。
 中銀総裁を閣僚扱いとする政府の暫定令は、メイレーレス総裁救済のための苦肉の策で、合法性を疑問視する判事も多かった。中央銀行には省庁の組織も機能もなく、省庁にあるような期限が定められた仕事も少ないので、省庁の最高責任者と中銀総裁は性質が全く異なるというのだ。
 検察庁が指摘した総裁に対する疑惑は四つ。一、タックス・ヘイブンにある総裁所有の現地法人は、不正送金や脱税、資金洗浄のために設立したとする疑惑。二、総裁が頭取を務めるボストン銀行から中銀に無断で、十四億ドルを送金し、発覚後に合法化手続きを行った。三、総裁の資産三千万ドルは出処不明瞭。四、外国居住を理由に二〇〇一年に納税を未申告。しかし選挙裁には、国内居住として下議に立候補している。
 フォンテレス検事総長は最高裁へ、同総裁が九六年以降に交わした全為替契約のコピーを請求した。本人が全く関知しない金融取引であったかどうか、確認するようだ。タックス・ヘイブンの投資信託会社は、猫が魚を管理しているようなものだ。
 外国に設立した投資顧問数社についても、国税庁に関係書類を求めた。検事総長の請求が容認されると、中銀はボストン銀行時代の総裁の出処不明送金の証明書を最高裁に提出しなければならない。
 ルーラ大統領は、総裁更迭の意志がないことを表明し、更迭は疑惑を罰するものと弁明した。しかし、関係者は辞任が潔い解決策とみている。いずれにしても、最高裁は総裁の疑惑について解明を行う。審理は捜査である。
 後任は、ムリロ・ポルトガル財務次官が待っている。パロッシ財務相に輪を掛けた保守派で、政府財政の引き締めに手腕が期待される人物である。現在は国際通貨基金(IMF)で時間潰しをして、呼び出しを待っている。